Interview

「レーザマシン100台導入計画」

日本のものづくり復権を目指して機械化に注力

小野建 株式会社 代表取締役副社長 小野 剛 氏

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画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”堺スチールセンターに導入された10段パレットチェンジャー付きの大板ファイバーレーザマシンENSIS-6225AJ+AS-6225

コロナ禍によるサプライチェーンの滞りや、中国の「ゼロコロナ」政策下でのロックダウンによる部品供給能力の低下、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、世界的に資源・エネルギー価格の高騰が加速している。さらに、この状況に追い打ちをかけるように円安が進む。原材料や燃料を海外に依存している日本にとって、急激な円安は輸入コストの増加につながり、国内企業のコストアップ要因となっている。

そうした状況を受け、高炉・電炉メーカー各社は鋼材価格の大幅な値上げを行っている。しかし、想定以上に進む原材料価格の高騰により収益確保は難しく、メーカー各社は引き続き追加値上げを予定している。先行き不透明で、鋼材価格の高騰は予断を許さない状況が続いている。

鉄鋼・建材の流通商社である小野建㈱は5月、2022年3月期決算を発表した。これによるとコロナ禍での需要減少、中小型案件の建設計画の延期や中止などのマイナス要因はあったものの、鉄鋼商品販売の利益率が向上するなどのプラス要因により、前期(2022年3月期)の売上は3期ぶりの増収、営業利益は2期連続の増益となった。2022年4月以降も順調に推移しており、今期(2023年3月期)も増収を見込む。

小野建グループは国内で34カ所の営業拠点を展開。常時25万トン前後の鉄鋼の在庫を抱えており、午前に受けた注文は、当日中に届ける物流ネットワークを強みとしている。2019年度からは鋼板の切断・穴あけ・曲げに対応できる設備を全国の拠点に導入し、「加工品販売」を強化。レーザ加工ができる拠点を沖縄県・福岡県・愛媛県・大阪府・兵庫県・滋賀県・三重県・愛知県・石川県に開設した。

今年7月には新たに岐阜駅前に営業所を開設、来年2月には京都府八幡市に倉庫を竣工する計画だ。拠点の新設だけでなく、既存拠点の増築・機能強化なども計画しており、今後も随時、生産能力・加工能力を強化していく予定だ。

そこで小野剛副社長に今後の展望や積極的な設備導入の理由、カーボンニュートラルへの対応などについて話を聞いた。

売上高3,000億円、営業利益150億円を目標に

― 先日発表された前期(2022年3月期)の業績を見ると、増収増益で非常に好調ですね。今期(2023年3月期)もその勢いは変わりませんか。

小野剛副社長(以下、姓のみ) 前期(2022年3月期)は、コロナ禍による需要減少、中小型案件の建設計画の延期や中止といったマイナス要因があったものの、鋼材市況の上昇が継続し、鉄鋼商品販売の利益率が向上しました。売上高は3期ぶりの増収となる2,227億円(前期比+9.8%)、営業利益は2期連続の増益となる117億円(同+80.5%)となりました。

今期(2023年3月期)は正直、前期ほどの営業利益を出すことは難しいと思っています。在庫量は昨年とあまり変わらないのですが、在庫単価が昨年度に上がりきってしまっているため、今期は少し減益になると見込んでいます。売上の増収基調は続くと思います。

当面の目標は売上高3,000億円、営業利益150億円の達成です。いつまでにといった明確な期間は定めていませんが、なるべく早い段階でこの目標を超えていきたいと考えています。

画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”左:レーザマシンLC-6030θⅢと多段式パレットチェンジャーAS-61020PC/右:2021年12月に導入されたベンディングロボットシステムHG-2204ARm+
HGROBOT-80による曲げ加工。製品を集積するためのパレットリボルバーも設置されている

ものづくり復権のために機械化は必要

― コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、地政学的リスクが高まり、日本国内への製造回帰の動きも出始めています。

小野 日本の中小企業の生産性は非常に低いといわれています。その理由はシンプルで、機械でできるものを機械に任せられていないからだと思います。国内のロボットメーカーも、日本で製造しているロボットの多くを輸出しています。そうではなくて、国内のものづくりでももっと機械やロボットを活用していくべきだと思っています。

人手が足りないから外国人技能実習生を受け入れて生産する ― これでは日本のものづくりの復権にはなりません。技能実習生は日本の賃金制度で働いています。当然、賃金の安い新興諸国―たとえばベトナムなどの方が人件費が安くなるため、仕事はそちらへ流れていってしまう。しかし、機械で加工できれば人件費は関係ありません。これが日本のものづくり復権のひとつの勝ち筋だと思っています。

昨今、地政学的なリスクが非常に大きな問題になっています。ウクライナ侵攻、コロナ禍、中国のロックダウンによる物流の混乱などを見て、今後は必ず日本にものづくりが回帰してくると感じています。その波を逃さないためには、日本でより安く早く生産するための仕組みをつくることが重要です。

機械でできることはすべて機械に任せ、人にしかできないことだけ人が行う ― その流れをつくりたい。実際にメーカーさんからそういった提案をいただいていて、すでに一緒に進めている案件もあります。

  • 画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”2021年12月に導入したコラム加工ラインは、同社初のコラム加工設備
  • 画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”安川電機と共同開発した敷鉄板の機械加工とプラズマ切断を同所加工できる複合加工用ロボットによる加工

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会社情報

会社名
小野建 株式会社
代表取締役社長
小野 建
代表取締役副社長
小野 剛
本社
福岡県北九州市小倉北区西港町12-1
堺スチールセンター
大阪府堺市西区築港新町1-5-7
電話
072-241-8461(堺スチールセンター)
設立
1949年
従業員数
834名(連結)
主要事業
鋼材の販売・加工、土木建築材料の販売、土木建築工事の請負など
URL
http://www.onoken.co.jp/

つづきは本誌2022年8月号でご購読下さい。

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