第32回優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介
目指しているのは“徹底して考えるものづくり”
食品加工ラインの主要部品「パイプスクリュー」が「日刊工業新聞社賞」を受賞
株式会社 テラノセイコー
①「日刊工業新聞社賞」を受賞した「パイプスクリュー」(SUS304・板厚2.0㎜・3.0㎜・6.0㎜、W900×D150×H150㎜)/②パイプスクリューの部分。10~12個のU字型パーツに分割した板金部品を組み合わせて接合する工法に転換することで大幅な工数削減と品質向上を実現した
食品加工ラインの主要部品のひとつ
左から金澤恵介主任、寺野社長、小島尚徳工場長、佐藤裕太主任
「第32回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「組立品の部」に出品した㈱テラノセイコーの「パイプスクリュー」が「日刊工業新聞社賞」を受賞した。
「パイプスクリュー」は、食品加工ラインの練り工程の主要部品として実際に使われているもの。従来製品は丸パイプを巻きつけて肉盛り溶接で接合する工法を採っていたが、高コストのうえ、精度不足により耐久性が低いことが課題だった。それに対して同社は、10~12個のU字型パーツに分割した板金部品を組み合わせて接合する工法を提案。大幅な工数削減と品質向上を実現し、課題解決につなげた。
今回の板金フェアでは、この製品を複製。初めての応募で、「技術水準・独創性がきわめて高く、業界の発展に貢献すると思われる作品」に授与される「日刊工業新聞社賞」を受賞した。
新潟県新発田市にある㈱テラノセイコーの工場内
曲げ工程。曲げ長さ4mに対応するHG-1704(手前)などが並ぶ
目指すのは“徹底して考えるものづくり”
テラノセイコーは1984年、寺野敬明社長が27歳のときに創業した。創業当初は、知人の工場内の9坪のスペースで、自動支払機や自動両替機などに使用する精密板金部品を製作。資金・設備が不十分ななか、寺野社長が加工する製品の品質の高さと、型にはまらない創意工夫が評価され、少しずつ業容を拡大していった。
現在は、医療機器・製薬機器・介護機器・食品機械・通信機器などの「精密板金」を主力に、サイン・モニュメントなどの「装飾板金」も手がける。取り扱う材料はステンレスが80%程度、板厚は1.0~9.0㎜が多い。板金加工・プレス加工・機械加工・溶接・研磨仕上げに社内で一貫対応できる総合力も特長だ。
同社が目指しているのは“徹底して考えるものづくり”であり“優秀な設備・マシンだけではできないものづくり”。職人肌の寺野社長は「当社にとっては、どれだけ優れた機械でも“道具”のひとつにすぎません」と語っており、“道具”に依存することなく、徹底して考え、得意先の想像を超えるものづくりを実践する“人財”を何よりも大切にしている。
CNCフライス盤によるミーリング加工を行う佐藤主任
溶接作業を行う金澤主任
会社情報
- 会社名
- 株式会社 テラノセイコー
- 代表取締役
- 寺野 敬明
- 住所
- 新潟県新発田市貝屋149-2
- 電話
- 0254-33-3109
- 設立
- 1989年(1984年創業)
- 従業員数
- 8名
- 事業内容
- 医療機器・食品機械・通信機器などの精密板金、サイン・モニュメントなどの装飾板金
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