ファイバーレーザ溶接による高速・高品位加工
FLW-ENSISに衝撃を受ける
「不可能を可能にする技術」と高い評価
株式会社 中野屋ステンレス
小見出し1
㈱中野屋ステンレスは1902年(明治35年)、配給の粉ミルクの入れ物をブリキで製造する「中野屋ブリキ店」として創業。ブリキ加工を得意としたことから、ブリキ製の流し台を製造販売するようになった。やがて扱う材料がブリキからステンレスに変わり、1955年に「中野屋ステンレス」が誕生した。「中野屋」は屋号で、小坂博志社長が4代目の老舗企業だ。
2010年に現在の伊那インター工業団地に本社工場(敷地2,200坪)を移転、旧本社工場は双葉第二工場(敷地1,100坪)となった。大物加工を得意とし、加工設備は5´×10´仕様となっている。主要製品は工作機械に使われる切屑と切削油剤を分離するクーラントろ過装置で、中部圏に本社を置く装置メーカー2社向けにOEM生産、売上全体の30%を占める。このうちの1社は、大手自動車メーカーの工場向けに納品しており、生産台数の半分は海外の自動車生産工場へ輸出している。もう1社は、自動車関連企業向けに納品しているほか、大手専門商社経由での販売も行っている。
続いて多いのが、LEDを使った標示装置。板金筐体の加工・塗装まで行ってから納品し、得意先がLEDを組み込んで出荷している。コンビニエンスストアのサインスタンドとともに、売上の10%を占める。また、建築金物が20%。集塵装置や環境機器、飲料用充填機などの食品機械のユニット・部品などが合わせて10%。モニュメントや理化学用の実験装置などが20%となっている。
現在の得意先は20~30社。受注品の多くはロット1 ~5台程度であり、リピート生産比率は最大でも20%弱と低い。
加工から電装組み込みまで一貫生産
加工設備としてはパンチ・レーザ複合マシンEMLとレーザマシンFO(4kW)が主力で、補完的にパンチングマシンVIPROSとパイプ加工専用機LC-δ(デルタ)を活用している。曲げは、長さ4mまで対応できるベンディングマシンHG-2204、HDS-2204NTが主力。溶接はTIG、半自動の溶接ロボット4台のほか、今年1月に第二工場に導入したファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISがある。
本社工場では抜き・曲げ・溶接・塗装・組立までを一貫して行って納品する。第二工場では主にFLW-ENSISを活用して生産し、本社工場でオーバーフローした組立も担当している。
設計・プログラム工程には専任のプログラマが4名。3次元CAD SolidWorksが2台、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksが1台、建築・サッシ用CADのTBCADが3台あり、2次元CAD/CAM AP100も5台活用している。
新規品の割合が80%と高く、月間の加工品目数は親番だけで約1,500件、子部品・孫部品まで含めると数千点の部品数がある。そのため、1日の新規プログラム件数は100件を超える。
FLW-ENSISに関しては、導入後の操作教育やロボットの安全教育に、設計・プログラム工程の責任者である宮城島朗製造第一課長が出向き、溶接ロボットのプログラムをFLW用CAMで行っている。現在では加工点数の60%弱をオフラインでプログラミングしており、外段取り化による設備稼働率改善に力を入れている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 中野屋ステンレス
- 代表取締役
- 小坂 博志
- 住所
- 長野県伊那市西箕輪2701-5
- 電話
- 0265-72-4413
- 設立
- 1955年
- 従業員数
- 31名
- 主要製品
- クーラントろ過装置、建築金物、環境機器、洗浄装置、サイン、シンク
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