ゆるやかな回復が続く工作機械業界
工作機械用制御盤を1日60台生産
制御盤パネル加工用に複合マシン・パネルベンディングラインを導入
株式会社 タニテクニカル
①溶接が終了した工作機械用制御盤が並ぶ。月産1,000台、1日60台生産で、複合マシン・パネルベンディングによるブランク・曲げ加工の一貫生産を行っている/②ACIES側から見た複合マシン・パネルベンディングライン
2016年末に第2工場が竣工
谷口啓社長(左)と谷口武専務(右)
谷口啓(あきら)社長が会社勤めののち、念願の独立を果たしたのは1990年。バブル崩壊後の不況の中、少しずつ得意先の信頼を積み重ね、2000年に㈲タニテクニカルを設立した。
ところが、2000年9月に発生した東海豪雨によって同社の工場は浸水、導入したばかりの設備が水に浸かった。しかしこの苦境から3週間で工場を復旧。その後は海外移転が進む自動車関連から住宅用建材の分野へとシフトし、今日の事業基盤を築いた。
2016年12月、本社工場の隣接地1,200坪の敷地に建坪760坪の第2工場が竣工。最大板厚3.2㎜、サイズ4,000×1,524㎜までのパネル加工に対応して、材料棚からブランク加工、パネルベンディング加工を可能とする複合マシン・パネルベンディングラインを導入、大型制御盤パネルの量産加工に対応できる生産体制を構築するとともに、曲げ長さ3~4mの大型製品の曲げ加工に対応するベンディングマシンを第2工場に移設した。
左:複合マシンとパネルベンディングマシンの境目にあるバッファーエリア/中央:パネルベンディングマシンによる制御盤パネルの曲げ加工/右:曲げ加工が終わると搬出エリアで作業者が仕分け・パレタイジングする
中国向け工作機械特需
今年7月以降、従来から受注している工作機械用制御盤の生産量が月産1,000台、1日60台生産となり、複合マシン・パネルベンディングラインによるブランク・曲げ加工の一貫生産を行っている。
最終の溶接工程には最新型のアーク溶接ロボットを導入、ポジショナーテーブルに治具で固定した筐体パネルをクランプ、トビラを除く大半の部材の溶接を全自動で行うことができるようになった。
「工作機械向け制御盤の生産は9月以降、さらなる増産が見込まれており、現在はその対応に追われています。お客さまの工作機械メーカーが、中国から大量受注したためで、イレギュラーな特需と考えていますが、瞬間的には大幅増産体制を採らなければならず、嬉しい悲鳴です」。
「このほかにも従来からの建材関係(耐蝕金物・水切り・メーターBOXなど)から、自動車工場向けの洗浄装置、海外向けの自動券売機、ホームドア、発電所向けの大型配電盤、高速道路の表示板といった引合いや受注をいただけるようになりました」。
「2020年の東京五輪向けのほか、ポスト五輪需要の柱と考えられている国土強靭化に対応した電力・鉄道・高速道路といった社会インフラの大規模修繕に対応した様々な引合いが出てきています。現在は専務を中心に、先々の需要動向を想定しながら受注対応を進めているところです」と、谷口社長は第2工場竣工後から活気づきはじめた需要への対応を語っている。
左:最新のアーク溶接ロボットによる制御盤部品の自動溶接/右:自動車業界向けの洗浄装置の組立
会社情報
- 会社名
- 株式会社 タニテクニカル
- 代表取締役社長
- 谷口 啓
- 住所
- 愛知県豊田市本町寺田34
- 電話
- 0565-42-2266
- 設立
- 1990年
- 従業員数
- 70名(正社員49名)
- 主要事業
- 製缶、機械加工、精密板金、ステンレス、アルミ加工、制御盤、その他筐体等の板金加工
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