レギュレーション対応が課題―医療機器の板金加工
医療機器部品と自社ブランド製品の2本柱
1次サプライヤーとして医療機器製造許可と改正RoHS指令に対応
シンテックス 株式会社
パンチ・レーザ複合マシンEML-3510NT(2連棚付き)
医療機器部品と自社ブランド製品の2本柱
代表取締役の八木澤穣氏
シンテックス㈱は、医療機器を中心とする板金部品製造を手がける「製造部門」と、自社ブランド製品である福祉機器の開発・設計・製造を手がける「テクノセンター部門」の2本柱体制で事業を展開。全社売上に占める比率も、およそ半々となっている。
「製造部門」では、医療機器と送変電機器などに関連した板金部品の製造を手がけている。同社は1971年の創業当初から、大手電機メーカー向けに開閉装置・変圧器といった送変電機器に使用する板金部品を供給。その後、同じ企業グループに属する大手医療機器メーカーの1次サプライヤーとして、X線診断装置・CT・MRIといった医用画像診断装置のカバーや機構部品の板金加工、一部サブアッシーを手がけるようになった。最近はアイケア製品を手がけるメーカーを新規開拓し、眼科検査装置向けの板金部品も手がけている。送変電機器向けの仕事は今も続いているが、製造部門の仕事量全体に占める医療機器関連の割合は70%超を占め、製造部門の主力となっている。
「テクノセンター部門」では自社ブランド製品のメーカーとして、椅子式階段昇降機「タスカル」シリーズ、段差解消機「タスカルりふと」シリーズといった福祉機器の開発・設計・製造を行っている。同社は1995年に研究開発部門「テクノセンター」を発足し、1996年に初代「タスカル」を発表。その後も製品の改良を続けながら、曲線型、屋外直線型、バッテリー駆動方式などをラインナップに加え、代理店網を拡充して販売を強化してきた。
左:Dr.ABE_Bendによる曲げ加工シミュレーション/右:曲げ工程には計7台のネットワーク対応型ベンディングマシンが導入されている
画像診断装置向け板金部品の生産体制
製造部門の主力である画像診断装置の生産台数は、徐々に減少する傾向にあるという。
「お客さまはすでに中国へ工場進出しており、ミドル・エントリー機種を生産移管、板金部品もできるだけローカルサプライヤーから調達する方針です。国内で生産するのは開発試作・ハイエンド機種が中心となり、仕事量は少しずつ減る傾向にあります。ハイエンド機種でも、共通部品の中には中国のローカルサプライヤーから調達して日本へ供給するものもあります。当社としては、試作・ハイエンド機種の仕事をいかにして確保するかが課題です」。
同社が手がける画像診断装置の部品は、主にX線診断装置・CT・MRIなどのカバーや機構部品。画像診断装置のカバーは樹脂製品が多いが、部分的に板金製品も用いられる。機構部品は鋳物のベースの周辺に取り付くことになる。
送変電機器向けの仕事であれば板厚25㎜までの厚板を加工することもあるが、画像診断装置向けの仕事は基本的に薄板のみ。カバーは板厚2.0㎜以下のボンデ鋼板、機構部品は板厚0.8~1.6㎜の亜鉛メッキ鋼板が中心となっている。アイテム数は月3,500アイテム前後。平均ロットサイズは5個前後で、単品も多い。
画像診断装置向け板金部品
会社情報
- 会社名
- シンテックス 株式会社
- 代表取締役
- 八木澤 穣
- 住所
- 栃木県さくら市喜連川1114
- 電話
- 028-686-3311
- 設立
- 1971年
- 従業員数
- 89名
- 事業内容
- 医療機器・送変電機器の板金加工、福祉機器の開発・製造・販売
つづきは本誌2015年12月号でご購読下さい。