特集

新型コロナ・自然災害にも負けず奮闘する岡山県の板金企業

アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要

ファイバーレーザ溶接システムの導入で高速・高品位・低ひずみ溶接を実現

三東工業 株式会社

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画像:アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要①ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISによるオイルパンの溶接/②ファイバーレーザ溶接が終了したオイルパン。低ひずみかつ高品位な仕上がりとなっている

工作機械業界の仕事が80%強

画像:アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要中山貴之社長

三東工業㈱は1951年、中山貴之社長の祖父が倉敷市玉島で造船関連や建築関連の部材加工を行う「玉島断接」として創業した。1958年に「㈲三東工業」として法人化し、鋼構造物工事の許可を得て建築分野に事業を拡大。1971年に「三東工業㈱」に株式改組し、運輸大臣登録工場として船舶の建造・修理を行うようになった。

1979年、玉島に工場のあった工作機械メーカーから旋盤などの工作機械に使うブラケットなどの板金部品の加工を受注するようになり、その後は順次、板金加工設備を拡充していった。

1988年に中山社長の父が2代目社長に就任し、現在地に2,000坪の土地を取得。1989年に新工場を建設し、1993年には本社工場として全面移転した。

2004年には、現社長の中山貴之氏が32歳で3代目社長に就任した。この頃、同社の事業は「工作機械」「印刷機械」「鋼製家具」の3本柱となっていた。

しかしその後、「鋼製家具」のメーカーの工場が統廃合により倉敷市内から撤退。「印刷機械」は大型化にともなって工法が変わり、必然的に「工作機械」分野の割合が高まっていった。現在は工作機械業界の仕事が売上全体の80%強を占めている。

  • 画像:アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要レーザマシンFO-MⅡ 3015NT+LST-3015FMⅡ+MPL-3015SG+TK-3015L+MARS(6列8段)
  • 画像:アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要レーザTK(TK-3015L)の導入でバラシ・仕分け作業の負担が大幅に軽減した

高付加価値化・短納期化への対応が不可欠

日本の工作機械メーカーはグローバル化に対応するため、地産地消の考えに基づき海外生産を強化していった。特に中・小型の量産機種は人件費の安い中国・台湾・タイ・ベトナムなどに生産が移転され、それにともなって機械カバーなどの板金部品もローカルサプライヤーから調達されるようになっていった。一方、日本では付加価値の高いハイエンド機種や特殊仕様のカスタム機種を中心に生産するようになり、デザインカバーをはじめ、板金部品にも高付加価値化が求められるようになった。

同社の得意先である工作機械メーカーも、台湾・中国に相次いで現地法人を設立し、標準機種を中心に現地生産を行うようになった。同社への発注内容も、標準機種が減少する一方で、ハイエンド機種やカスタム機種、得意先のメーカーが工作機械の見本市に出展する新商品などの機械カバーの割合が高まっていった。

「数が流れる標準機種は海外で生産されるようになり、当社が受注する製品は海外では対応できないハイエンド機種や特殊仕様のカスタム機種で、材料供給・製品搬出装置・検査装置などを組み込んだセル仕様の板金カバーが増え、短納期対応を求められています」。

「一般的に板金カバーは出図から製品出荷までのリードタイムが2週間から1カ月程度はありますが、当社が受注する機種は極端な場合、3~5日という短期間で納めなければなりません。カスタム仕様の場合は出荷直前になってお客さまが仕様を変更することも多く、特急・割込み対応が頻繁に発生します」。

「また、省スペース性が求められるローダーなどの自動化ラインでは、限られた空間に複雑なギミックを詰め込んでいくために、機械加工並みの加工精度を要求される部品が多く、展開から溶接まで気が抜けません」(中山社長)。

  • 画像:アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要曲げ長さ4mまで対応するベンディングマシンHDS-2204NTによる曲げ加工。このほかに3m対応のHD-1303LNTとHDS-1303NTがあり、大型・長尺製品の曲げ加工に対応する
  • 画像:アナログとデジタルのハイブリッド運用が必要出荷前の機械カバー

会社情報

会社名
三東工業 株式会社
代表取締役
中山 貴之
所在地
岡山県倉敷市玉島乙島8252-41
電話
086-525-0310
設立
1958年
従業員数
18名
主要製品
工作機械関連(フレーム、スプラッシュガード、フロントカバー、ブラケットなど)
URL
http://www.310kg.com/

つづきは本誌2022年2月号でご購読下さい。

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