特集

グローバル化でビジネスチャンスを拡大する板金企業

金属3Dプリンター事業を第2の柱に育てる

「信州100年企業創出プログラム」を活用し、キャリア人材を確保

株式会社 タカノ

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画像:金属3Dプリンター事業を第2の柱に育てる金属3Dプリンターで造形した加工サンプル

金属3Dプリンター事業で「JAPANブランド育成事業」に採択

画像:金属3Dプリンター事業を第2の柱に育てる髙野泰大社長(左)と藤尾宗太郎さん(右)

㈱タカノは今年5月、経済産業省・中小企業庁の「令和2年度JAPANブランド育成支援事業」に採択された。これは、全国展開や海外展開などのために、新商品・サービスの開発やブランディングなどに取り組む地域中小企業の活動を支援する事業で、タカノの応募テーマは「金属3Dプリンタ受託造形の海外販路開拓プロジェクト」だった。

同社は1972年、現会長の髙野裕二郎氏が創業した。「創造&チャレンジ」を経営理念に掲げ、医療機器、半導体・FPD製造装置、インクジェットプリンター、食品機械などの精密板金加工を中心に展開。2020年頃からはレーザ加工技術を積極的に採り入れ、パンチ・レーザ複合マシンやパイプ加工用レーザマシン、YAGレーザ溶接ロボットなどを活用してきた。

そうした中で、2013年に代表取締役社長に就任した髙野泰大社長は、レーザ金属積層造形―いわゆる金属3Dプリンターに注目した。同社が導入している欧州製レーザマシンのメーカーが、金属3Dプリンターを発表したことがきっかけだった。

「欧州の展示会で金属3Dプリンターの出展を見るようになりました。ドイツや米国で実用化が進んでいる状況を見ながら、『このままでは日本だけが置いていかれる』という危機感を抱くようになりました。当社としても、板金加工のほかに事業の柱をつくっていきたかったことから、当社がこれまで採り入れてきたレーザプロセッシング技術の展開のひとつとして、金属3Dプリンターの導入を考えました」(髙野社長)。

2017年、同社は日本で5台しか導入されていなかった金属3Dプリンターを導入。担当者を選任し、従来から取引のある得意先を中心にサンプル加工を手がけながら市場開拓に取り組んだ。しかし、当時の日本ではまだ金属3Dプリンターに対する評価が低く、市場開拓は難航しそうに見えた。

画像:金属3Dプリンター事業を第2の柱に育てる「Sheet Metal工場」の内部。加工・組立工程の流れを円滑化し、作業スペースの最適化をはかることで大型製品の加工に対応できるようになった

「信州100年企業創出プログラム」に参加

金属3Dプリンターの事業化への取り組みは、地域活性事業「信州100年企業創出プログラム」への参加をきっかけに大きく前進した。

設立40周年を間近に控えた2017年12月、同社は経済産業省から「地域未来牽引企業」に認定された。熊本で開催された「地域未来牽引企業サミット」に出席した際、政府系人材サービス会社である㈱日本人材機構の小城武彦社長と出会い、「信州100年企業創出プログラム」が2018年6月からスタートすることを知った。

このプログラムは中小企業庁のモデル事業で、日本人材機構を含む4法人によるコンソーシアムが、長野県の次代を担う「100年企業」創出を目指すというもの。コンソーシアムを構成するのは信州大学、日本人材機構、地域活性化の研究事例を豊富に有する一般社団法人Lamphi(ランフィ)、信州地区において多くの企業支援実績のある特定非営利法人SCOPの4法人。プログラムは、首都圏などで高度な専門性を持って活躍している人材を、信州大学の「リサーチ・フェロー」(客員研究員)として受け入れ、受け入れ企業の課題解決と持続的成長のシナリオ作成に挑戦するという内容だった。

  • 画像:金属3Dプリンター事業を第2の柱に育てる自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC
  • 画像:金属3Dプリンター事業を第2の柱に育てる半導体・FPD製造装置向け板金加工部品

会社情報

会社名
株式会社 タカノ
代表取締役社長
髙野 泰大
所在地
長野県松本市和田3967-73
松本臨空工業団地内
電話
0263-48-1500
設立
1978年(1972年創業)
従業員数
125名
主要事業
アルミ加工(パイプ・板金問わず)、アルミ溶接、半導体・FPD製造装置・フレーム筐体・クリーンの板金組立、最長6m 角・丸パイプのレーザ穴あけ、切り欠き、切断、自由曲線切断、溶接・組立加工
URL
http://www.takano-s.co.jp/

つづきは本誌2020年8月号でご購読下さい。

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