視点

「4K」「8K」「5G」「みちびき」が板金需要に変化をもたらす

LINEで送る
Pocket

自宅の窓から見える富士山は雪を冠り、清々しく、また雄々しい。かたや静岡県側から眺める富士山は雪も少なく、早春の青々とした姿を見せている。今年は雪が少ないとも言われているが、海側と山側とでちがった姿を見せる富士山は、やはり「日本一の山」だ。

先日、家電量販店で8Kテレビの実験放送の番組を見ていたら、富士山に魅せられた写真家が8Kカメラで撮影した映像を放映していました。

改めて8K画質の素晴らしさに感動しました。4K・8Kと、今秋から一部で試験運用が始まる第5世代移動通信システム(5G)が融合すると、世の中は劇的に変化するのではないかと思います。さらに、2018年11月から4機体制で運用を開始している準天頂軌道衛星システム「みちびき」によって、日本の衛星測位システムはより高精度で安定した衛星測位サービスを可能にしました。

2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、日本は「100年に一度」の大きな変化を迎えることになります。「みちびき」から送信される「センチメータ級測位補強信号」(L6信号)を専用の受信装置で受け取れれば、建設機械を高精度に操作して施工するi-Construction、農業機械を高精度に操作して農地管理するスマート農業も実現可能となります。

さらに、昨年から話題を集めている新たな移動サービスMaaS(Mobility as a Service)の実用化が加速する可能性があります。これまでは個別に運営・利用されていた鉄道やバス、タクシーなどの交通手段をICTを活用してクラウド化し、ひとつのプラットフォームに統合。自動運転やカーシェアリング、配車サービスなどが普及するといわれています。

ここに4K・8Kによるリアルタイムな状況確認、5Gによって4Gの100倍といわれる通信速度の高速化が加わり、身のまわりのありとあらゆるアイテムがワイヤレスでネットワークにつながることになります。これにより、建設土木や農業のみならず、スマートハウス、スマートシティ、スマートファクトリーなど、社会のあらゆるものがスマート化、同時に多くの端末で接続できるようになり、IoT化が一気に進むことになります。そうなれば工場の稼働状況を4K・8Kでリアルタイムに監視、加工設備を遠隔で操作することもできるようになります。オフィスや工場に出社しなくても、自宅やサテライトオフィスで仕事を済ますことができるようになるのも、それほど先の話ではなくなってきました。

こうした技術革新によって未来社会へ向かうスピードが速まっているのは確実です。それによって私たちの暮らしがどのように変わっていくのかをしっかり考え、変化対応力を備えておく必要があります。

板金業界にとっても4K・8Kの加速で、テレビの更新需要が生まれ、FPD製造装置をはじめとして新たな板金需要が生まれます。

また、5Gへの移行を前提に基地局に使われるさまざまなボックス、ケースへの需要が生まれてきます。通信データ量が爆発的に増えることで、これを処理するクラウド環境を実現するデータセンター需要は大きく拡大します。さらに、ハードディスクドライブの代わりに使用可能な大容量のフラッシュメモリーを利用したソリッドステートドライブ(Solid State Drive)の需要が増えるので、半導体製造装置の需要も拡大します。

MaaSを実現させるためには、さまざまなセンサーの開発が必要であり、そこにも新たな板金需要が見えてきます。変種変量生産に型レス、切屑レスで対応できる板金加工技術にスポットライトが当たっています。業界人には、これまで以上に変化対応力を備えることが求められています。

LINEで送る
Pocket

関連記事

視点記事一覧はこちらから