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サーボプレスが生み出す付加価値に着目

300トン×2台、200トン×2台 ― サーボプレス4台体制を構築

有限会社 吾妻プレス工業

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画像:サーボプレスが生み出す付加価値に着目2006年に初めて導入したデジタル電動サーボプレスSDE-3030(300トン、手前)と、2013年に導入したSDE-2025(200トン、奥)

自動車部品を主力とする金型・プレス加工企業

画像:サーボプレスが生み出す付加価値に着目渡辺隆社長(左)と渡辺大樹専務(右)

㈲吾妻プレス工業は1968年、福島県内の重電メーカーに勤めていた渡辺隆次郎氏が独立し、福島市内で創業した。当初は渡辺氏の前職である重電メーカー向けの部品や建築金物の製作を手がけ、1972年に法人化した頃からは金属プレス加工と金型の設計製作を中心に、得意先を拡大していった。

1987年に福島市から二本松市(現在地)へ移転。その少し前に福島県内の自動車部品メーカー、トキコ(現・日立オートモティブシステムズ)から自動車の足回り部品であるショックアブソーバー用ブラケットを受注し、自動車部品加工に進出。2000年代中ごろには、移動体通信基地局向けPC筐体の加工も手がけた。

現在の売上構成は、日立オートモティブシステムズ向けの自動車部品が約40%、送風機やコンプレッサーなどの産業機器関連が30%強、その他の電子機器部品・重電機器部品などが30%弱。事業別にみると、金属プレス加工が約80%、金型設計製作が約20%という比率になっている。

  • 画像:サーボプレスが生み出す付加価値に着目SPHC相当で板厚6㎜まで対応のNCレベラーフィーダー。SDE-3030に装着されている。ハイテンの使用割合が高まる傾向を受けて導入
  • 画像:サーボプレスが生み出す付加価値に着目デジタル電動2ポイントサーボプレスSDEW-3025。レベラーフィーダーは板厚3.2㎜まで対応

自己資本比率80% ― 強固な財務基盤と高い付加価値生産性

同社の特徴のひとつが、自己資本比率80%という強固な財務基盤と、それを支える高い付加価値生産性だ。

1995年に2代目社長に就任した渡辺隆社長は、1998年頃から十数年かけて、財務体質の改善に取り組んできた。就任当時の自己資本比率は35%前後。そこから、1年周期で行ってきた設備投資サイクルを1年半周期に延ばし、納税額が増えることを厭わずに内部留保を積み上げ流動資産の割合を高め、自己資本比率80%を達成した。実質、無借金経営となり、大きな景気変動にも耐えられる安定した財務体質をつくり上げた。そこで改めて投資サイクルを1年周期に戻し、売上の5~10%を毎年設備投資に充ててきた。

従業員数は30人に満たないが、最大500トンの油圧プレスと、200トン・300トンのサーボプレスを計3台設備し、レーザマシン・ベンディングマシンといった板金加工設備、溶接機も含めると40台以上の加工設備(金型加工設備を除く)を備える。金型製作の現場スタッフは4名、3次元CADを駆使し、マシニングセンタやワイヤ放電加工機、NC旋盤、平面研削盤などの高性能機種を取りそろえている。

プレスは単発が60~70%を占め、従業員数に対して設備台数が多いこともあって、設備稼働率はプレス工程で60%程度にとどまっている。そのかわり、500トンプレスまでの金型を社内で設計・製作できる技術力、200トン以上のサーボプレスを駆使した難加工材料・複雑形状への対応力、溶接・サブアッシーまでの一貫生産を武器に、得意先が順送プレスなどで内製することが難しい仕事や「お客さまが困っている仕事」(渡辺社長)を積極的に受注。その結果として、高い付加価値生産性を維持してきた。

画像:サーボプレスが生み出す付加価値に着目①SDE-3030で加工したショックアブソーバー用部品(φ91㎜×H72㎜、SPHC・板厚5㎜)。「パルス1モーション」を用いることでしごき加工による焼き付きやかじりが発生することなく成形できた/②遊技場向けの椅子に使用されるチューブ(外径φ38㎜・φ51.6㎜×H64.5㎜、SPCC-SD・板厚3.2㎜)。パイプの絞りと底板の溶接構造品から、コイル材からの順送プレス加工による深絞り一体成形品に工法転換した/③自動車のヘッドキャップ(SPHC-P・板厚2.9㎜)。SDEW-3025の「振り子モーション」を用いて10工程(六角部絞り3工程)の順送加工で成形した

会社情報

会社名
有限会社 吾妻プレス工業
代表取締役社長
渡辺 隆
住所
福島県二本松市下川崎字篠根坂山20
電話
0243-54-2301
設立
1968年
従業員数
27名
事業内容
自動車関連部品・産業機器部品・電子機器部品などの金属プレス加工用金型設計製作、治工具設計製作、金属プレス加工
URL
http://azumap.sakura.ne.jp/

つづきは本誌2018年7月号でご購読下さい。

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