好業績を背景にIoT対応を進める台湾板金業界
社員にとって魅力ある工場に
今年の売上も前年比10%増を目指す
欣旻工業研發 股份有限公司(SIN MIN INDUSTRIES R&D CO.,LTD.)
①板金工場の内部全景/②3次元モデリングされた工作機械カバー
リーマンショックを転機に新工場を竣工
林為鎮董事長
欣旻工業研發股份有限公司(SIN MIN INDUSTRIES R&D CO.,LTD.)は、14年前の2004年、太平市(現・台中市太平区)で設立された。大型の門形マシニングセンタ、立形・横形マシニングセンタ、NC旋盤などの工作機械に使用されるスプラッシュガード、テレスコピックカバー、チップコンベヤー、各種クーラント装置、油水分離装置などの板金製品の設計・製作・塗装・組立を一貫して行っている。
3次元CADを駆使した提案営業で顧客開拓を進め、2009年10月からは工場を拡大して第2工場、第3工場を増設、先進的な生産設備の導入を進めている。
「高い機能と、より良いサービスをお客さまに提供していきたい」と林董事長は語る。
林董事長は、1972年生まれ、今年45歳の働き盛りだ。以前は工作機械カバーを手がける台中市内の板金工場で働き、パンチング加工からレーザ加工、曲げ、溶接に至るまで、各工程で幅広い技術を学んだ。「自分が板金業界で事業を起こしても成功できるという自信がついたので独立を計画し、仲間数人で起業しました」という。
やがて、ていねいな製品づくりと提案力が評価され、同社への発注量は年を追うごとに増加、2009年に現在地に新工場を建設し、移転した。
移転を決めた2008年はリーマンショックにより、同社の受注量も激減した。しかし、「リーマンショックによる景気低迷は一過性のもので、しばらくすれば景気は回復すると考えました。ピンチはチャンス――自分たちのビジネスを拡大するために躊躇せず新工場を建設しました」(林董事長)。
得意先もリーマンショックからの立ちなおりが早く、2009年からは新工場の運用で生産能力が増えたこともあって、同社への発注量は次第に回復していった。特に工作機械以外の電子機器は回復が早く、くわえて自社ブランド製品の開発を行い、景気変動時の平準化を考えるようになった。
2台のレーザマシンFO-4020NT(4kW)
アマダのHG-1303をはじめ、10台あまりのベンディングマシンが並ぶ曲げ工程
2018年も前年比10%成長を見込む
現在の売上構成は工作機械カバーが65%、電子機器が30%、自社ブランド製品が5%となっている。工作機械カバーは台中市内にあるメーカー20社と取引を行い、この中には日系の工作機械メーカーも含まれており、倉敷機械からは大型工作機械のカバーを受注している。
また、電子機器は半導体・プリント基板製造装置、自動化機器のフレーム関連が多く、現在この分野ではメーカー5社と取引している。
「すべての受注製品を総合すると、新規品とリピート品の割合は半々ですが、電子機器関連については特にリピート品が少なく、新規品だけで95%程度を占めています。今は電子機器関係も工作機械カバーも非常に好調なため、今年の売上はすでに前年比10%以上を見込んでいます。今後、チャンスがあれば日系メーカーの仕事も、もっと受注していきたいと考えています」と林董事長は意欲を示す。
フレーム構造の板金カバーもあるので溶接工程の合理化が課題
溶接組立が終了したカバーをそのまま塗装できる大型塗装ブースを備えている
会社情報
- 会社名
- 欣旻工業研發股份有限公司
- 董事長
- 林為鎮
- 住所
- 台湾・台中市烏日區溪南路一段715巷8号
- 電話
- +886-4-2335-9758
- 設立
- 2004年
- 従業員数
- 140名
- 主要事業
- 工作機械カバー、電子機器、自社ブランド製品
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