特集

事業領域拡大による成長再加速

板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化

「多品種少量生産」と「分散化戦略」で堅実成長

株式会社 内山プレス工業

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画像:板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化板金加工を手がける「第3工場」を約2倍に拡張し、ファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJe(奥)やベンディングロボットシステムEGB-1303ARse(手前)などを増設した

板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化

画像:板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化内山浩社長(左)と小林正俊工場長(右)

㈱内山プレス工業は、板金加工を手がける「第3工場」の拡張工事を完工し、本格稼働を開始した。これにより「第3工場」の建築面積は約2.2倍の1,340㎡となった。

拡張部分(716㎡)は無柱空間とし、ブランク工程を配置。新たにファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJe(2棚・TK仕様)を導入し、既存のパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT(マニプレーター仕様)との2台体制とした。

既存部分(624㎡)には、ベンディングロボットシステムEGB-1303ARseと自動金型交換装置付きベンディングマシンEGB-1303ATCeを増設した。これにより曲げ工程の主力マシンは、既存のHG-8025、HG-5020、EG-6013と合わせ5台体制となった。

曲げ工程の対面には溶接工程を配置し、2022年に導入したアーク溶接ロボット2台や、TIG溶接機・スポット溶接機などを設置した。

工場拡張と新鋭設備の導入により、板金加工プロセスは大幅に刷新された。ブランク工程の生産能力は現時点で従来の2倍以上になり、今後はLC-C1NTからACIES-AJeへの生産移管と長時間スケジュール運転を実施していく。曲げ工程は、ベンディングロボットの加工品目数を増やしながら、自動化・スキルレス化を進めていく。

2013年に本格参入した精密板金加工の能力を強化したことで、同社の特徴である「多品種少量生産」への対応力が高まった。祖業である精密プレス加工とのシナジーにより受注の受け皿を広げ、さらなる成長を目指す。

  • 画像:板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化自動金型交換装置付きベンディングマシンEGB-1303ATCeで曲げ加工を行う女性オペレータ
  • 画像:板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化溶接工程には2022年にアーク溶接ロボット2台を導入。溶接治具は社内の金型加工設備で製作し、迅速な立ち上げに対応する

プレス専業時代から「多品種少量生産」に対応

内山プレス工業は、「多品種少量生産」への対応と「分散化戦略」によって、約半世紀にわたり堅実な成長を遂げてきた。

最大の強みは、精密プレス金型・治工具の設計・製作、金属プレス加工(順送・単発)、板金加工、溶接、一部サブアッシーに自社内で一貫対応するオールラウンドな生産体制だ。1973年にプレス加工企業としてスタートして以来、プレス加工を中核としながらも積極的な設備投資によって、順送プレス(1981年)、金型設計・製作(1987年)、板金加工(2013年)、一部サブアッシー(同)と事業領域を広げてきた。

1980年代後半という早い時点で「多品種少量生産」への対応に活路を見いだした。当時は、1985年のプラザ合意を受け、労働集約型の組立工程や大量生産品の海外シフトが始まっていた。同社は当時から、月間100個程度というプレス加工としては極端に小さいロットサイズの仕事にも対応。1案件あたりの仕事のボリュームや利益率は低くなるものの、将来も国内に残り続ける「多品種少量生産」の仕事を手がけることで、安定成長の基盤を固めた。

その後も「多品種少量品の早期立ち上げ」に対する顧客の要求は年々強まり、2013年には「第3工場」を開設して精密板金加工に本格参入。精密プレス加工と精密板金加工の両輪体制を目指した。

  • 画像:板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化単発プレス工程。200トンサーボプレス(右)は他社に先駆け2005年に導入した
  • 画像:板金工場を2倍に拡張 ― 精密プレス加工とのシナジーを強化ワイヤ放電加工機(手前)などの金型加工設備。金型加工室は温度管理を徹底している

会社情報

会社名
株式会社 内山プレス工業
代表取締役
内山 浩
所在地
福島県岩瀬郡天栄村大字柿之内字沖内18
電話
0248-83-2231
設立
1986年(1973年創業)
従業員数
30名
主要事業
精密金型・治工具設計製作/精密プレス部品加工(順送・単発・トランスファー)/精密板金加工・溶接・組立
URL
https://www.uchiyama-press.jp/

つづきは本誌2025年5月号でご購読下さい。

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