輸送機器・建設機械・建築の3本柱 ― 顧客第一で差別化を推進
LIVLOTS導入で「進捗管理」「所在管理」に対応 ― 新工場計画も進行中
シートメタルテクノ 株式会社
ブランク工程にはファイバーレーザマシンREGIUS-3015AJ(6kW)とCO2レーザマシンFO-MⅡ 2412NT(4kW)が並ぶ。どちらもパレットチェンジャー(10段)仕様
輸送機器・建設機械・建築関連の3本柱
上明戸淳社長
埼玉県伊奈町のシートメタルテクノ㈱は、バス・トラックなどの輸送機器部品、建設機械部品、建築関連部品の板金加工・溶接組立を手がけている。
「人と人とのつながり」をとりわけ重視する上明戸淳社長のもと、2次サプライヤーとして顧客ニーズに応え続けることで、強力なパートナーシップを構築してきた。中でも、試作板金加工にルーツを持つ同社ならではの短納期対応、薄板から厚板までオールラウンドに対応できる生産体制と技術力、協力会社のネットワークを生かしたワンストップ対応には定評がある。
主要得意先は5社。売上構成は、輸送機器部品40%、建設機械部品30%、建築関連部品30%とバランス良く分散している。SS400・SPHC・高張力鋼(440~560MPa)などの鉄系材料が大半を占め、ステンレス・アルミはわずか。板厚は0.8~22㎜に幅広く対応する。
現在は2026年8月のオープンを目指して新工場の建設計画を進行中。生産能力のさらなる充実をはかり、顧客への提供価値を高めながら、次世代へ向けたステップアップを目指す。
上明戸社長は「目標は高く掲げ、従業員数50人以下で売上10億円を目指したい」と語っている。
左:REGIUS-AJ(6kW)は薄板から中厚板までのワイドレンジに対応する/右:「第二工場」の溶接工程には溶接ロボットを3台設置し、比較的ロットサイズが大きいリピート品の溶接を自動化
積極的な設備投資と生産改革で成長軌道へ
同社は1981年、上明戸富雄会長が「上明戸製作所」として創業し、輸送機器部品の試作板金企業としてスタートした。2代目経営者の上明戸淳社長は、2002年に入社して以来、みずから現場作業を行いながら設備投資を活発に行い、事業を成長軌道に乗せていった。
上明戸社長は埼玉県内の金属加工企業で10年間勤務し、32歳で同社に入社した。前職ではパンチング加工、レーザ加工、曲げ加工、品質管理、営業を順次担当し、その豊富な経験を生かして生産改革を進めていった。
入社当時の従業員数は8名で、得意先はほぼ1社。熟練の職人が全工程を渡り加工しながら製品を完成させる昔ながらの町工場だった。上明戸社長は要となる曲げ工程に入り、すべての製品の曲げ加工を担当することで、工場全体の仕事の流れをコントロール。渡り加工による一貫体制から分業体制へとシフトしながら、ベンディングマシンの更新やパンチングマシンの新規導入などの設備投資も進めていった。
2009年頃には、従来の輸送機器部品に加えて建設機械部品の案件も手がけ始めた。海外向けの機種がヒットし、増産対応で同社の受注につながった。多品種少量ながらリピート・量産の仕事が加わったことで、資金繰りも安定し、その後の成長へとつながった。
2011年には現在地に新工場(現在の「第一工場」)を開設し、建設機械部品に用いる中厚板(SS400・板厚4.5~9.0㎜)の加工に対応するためレーザマシンを導入した。これにより、薄板(0.8~2.3㎜)メインの輸送機器部品と、中厚板メインの建設機械の両輪体制を確立。2014年にはレーザマシン2台体制とし、成長を加速させた。
上明戸社長はそれ以降も、「第二工場」の開設、レーザマシンの更新、ベンディングマシンの更新、溶接ロボットの新設・増設、3次元CAD・CAD/CAM・生産管理システムなどのIT投資を行いながら、自動化・スキルレス化・デジタル化を推進。“第三の柱”として建築関連部品の案件も獲得した。上明戸社長が入社した2002年から22年間で、従業員数は5倍超、売上高は7倍以上に成長した。
LIVLOTSの進捗キットを導入し、溶接工程の作業者17名にタブレット端末を配布
溶接まで完了した輸送機器部品
会社情報
- 会社名
- シートメタルテクノ 株式会社
- 代表取締役
- 上明戸 淳
- 所在地
- 埼玉県北足立郡伊奈町小室4407
- 電話
- 048-722-5043
- 設立
- 1984年(1981年創業)
- 従業員数
- 44名
- 主要製品
- 輸送機器部品、建設機械部品、建築関連部品の板金加工・溶接組立
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