IoTサポートでマシンを止めずに稼働率向上を実現
マシンの稼働率向上に役立つIoTサポート
社員のモチベーション、プライド向上に貢献
株式会社 吉見鈑金製作所
デジタル一貫生産で業績アップ
㈱吉見鈑金製作所は吉見昌高社長の父である吉見昌弘会長が1988年に設立、県内の工作機械メーカーからカバー・部品を受注した。1996年に24歳で入社した吉見社長は、2006年に専務に就任、受注の平準化とリスク分散のため医療機器・半導体製造装置・鉄道車両・産業機械など得意先の新規開拓に取り組んだ。2012年には職業訓練法人アマダスクール主催の経営後継者育成講座(JMC)を受講、経営者としての知識を学び2代目社長に就任した。
社長に就任すると、「①吉見は若い柔軟な企業体です、②吉見は社員の1人1人に夢があります、③吉見はお客様に夢をご提供します、④吉見は夢の実現から社会に貢献します」を目標に事業を発展させていった。
現在、得意先数は150社以上。毎月安定的に取引する得意先は40社で、そのうち30社で売上全体の65~75%を占める。売上構成比は工作機械関連が50%、半導体製造装置関連が20%、Webプラットフォームからの受注が20%、その他が10%となっている。2022年度の売上はウクライナ侵攻などの影響により不確実性はあるものの10億円超えを目指している。
「コロナ下でも2020年、2021年ともに売上は微増で推移することができました。工作機械が落ち込んだ時には射出成型機カバー、Webプラットフォームをとおした仕事が伸び、カバーしました。2021年9~11月は工作機械関連も繁忙で受注はピークとなりました。今でも半導体製造装置、Webプラットフォームをとおした仕事が伸びています」(吉見社長)。
独自開発した「吉見IoTシステム」で受注から出荷までに対応
受注する製品の45%は鉄系材料の板厚0.5~12㎜。25%はステンレス材料で、微細レーザ加工によるシムなどの加工が含まれているので0.03~9.0㎜。アルミは20%ほどで0.5~6.0㎜、その他は10%となっている。最近は半導体製造装置、医療機器などでアルミの仕事が増えている。
とりわけWebプラットフォームをとおした仕事はプラットフォームを運営する企業からの信頼も厚く、1年前までは売上構成比で15%程度だったが、最近は塗装、めっき、アルマイト処理など表面処理工程を含む受注が増え、20%まで増えている。Webプラットフォームからの仕事に限定してみると、毎日の出荷は300~350点。受注はすべて3次元CADデータなのでSheetWorksで開き、バッチ処理でバラシ・展開を行い、ブランク・曲げの加工データはVPSS 3i BLANK、VPSS 3i BENDで作成。材質・板厚別に自動ネスティングを行い、ACIES-AJ、EML-NTP、FO-MⅡでブランク加工する。曲げはHG-ATCを主体に加工。表面処理は協力工場に依頼し、短納期対応を行っている。
「全体では月間に3万アイテム以上を処理しているので、バッチ処理するWebプラットフォームからの受注製品を含め、OCRも活用して、すべての受注データを電子化、WILLに受注登録することで工程の負荷状況まで可視化しています。また、独自のバーコードを現品票に印字し、このバーコードを読むと作業指示書や図面が呼び出せます。また、小物部品が多いWebプラットフォームからの受注製品に関しては梱包、出荷工程の端末でバーコードを読み込むと作業指示書・図面を呼び出し製品検査します。製品を一点ずつ梱包すると同時に出荷先別に仕分け、作業者に指示する自動仕分け機能を自前で開発しました」。
「さらに作業者がダンボール箱に梱包する際には、あとからどの箱にどんな荷姿で梱包したのかが確認できるよう、梱包作業の様子を動画で撮影、記録するとともに、お客さまが開梱して製品を取り出すときのサポートができるように荷姿を紙に印刷して貼ることも計画しています。これによって納品後に不具合が生じた場合にも対処できます。昨年には『吉見IoTシステム』を構築するために、システム化対応の専任担当者を置きました」と、吉見社長はデジタル一貫生産体制を構築して取り組んできた同社の「管理の見える化」「ものづくりプロセスの見える化」の取り組みについて語っている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 吉見鈑金製作所
- 代表取締役社長
- 吉見 昌高
- 所在地
- 長野県上田市小泉346-1
- 電話
- 0268-27-7647
- 設立
- 1988年
- 従業員数
- 65名(外国人技能実習生を含む)
- 主要製品
- 工作機械・環境機器・医療機器・農業機器・鉄道車両・制御盤・半導体製造装置・射出成形機などのカバー・機構部品・Webプラットフォーム受注品
つづきは本誌2022年6月号でご購読下さい。