特集

技能検定制度を生かしたエキスパート人材育成の取り組み

社員全員が目標達成のために自分自身のPDCAを実践

さまざまな資格を持つ社員が増加 ― 品質向上や不良率低下につながる

株式会社 アライ

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画像:社員全員が目標達成のために自分自身のPDCAを実践ファイバーレーザ複合マシンEML Z-2512AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTK

盤石な体質をつくるため、経営指針書を作成

画像:社員全員が目標達成のために自分自身のPDCAを実践新井敏男社長

㈱アライは1985年に新井敏男社長が愛知県一宮市内で設立。翌1986年、パンチングマシンPEGAを導入して工作機械カバーや建築金物の板金加工を行うようになった。

1985年のプラザ合意による影響で円高となり、同社も工作機械カバーの仕事が激減するなどの影響が出た。1986年12月からは日本経済がバブル景気となったことで、同社の事業も回復し順調に拡大していった。しかし、1989年12月の大納会をピークに株価が下がり始め、バブル景気も1990年10月以降に崩壊した。

景気に翻弄された新井社長は、経営体質を盤石にするためにはしっかりとした経営理念・経営指針を確立しなければならないと痛感したという。

新井社長は1992年に愛知県中小企業家同友会の会員となり、経営指針書の作成に着手した。それとともに期初の10月には全社員参加の「経営方針発表会」を開催。決算結果などの情報を開示し、新年度の経営方針を発表するようになった。そしてその方針に対応して、全社員が1年の目標を発表するようになった。これによって経営者、社員、協力会社・金融機関に情報が共有されるようになった。こうした経営努力もあって、1999年にISO9001の認証を取得、2005年に中小企業経営革新支援法の承認を受けた。

2006年には敷地面積5,458㎡の冨田工場を建設、2008年には広告看板の製作や太陽光発電システムの設置などを行う㈱マスターをグループ会社とした。2009年にはISO14001の認証を取得。2014年には延床面積5,500㎡の6階建てビルを本社事務所として購入し、アライとマスターの本社を移転した。2016年には岐阜県羽島市に羽島工場を開設。冨田工場の溶接・塗装部門を移転し、建設機械や車両関係の量産品の溶接・加工とステンレス・スチール・アルミなどの加工を行うようになった。

画像:社員全員が目標達成のために自分自身のPDCAを実践左:各種検定の有資格者の顔写真と資格一覧が紹介されている/右:技能検定合格証書も掲示されている

スーパーゼネコンの建築金物関係の仕事が売上の70%

2020年度の売上高はアライ単独で21億円、グループ全体で26億円を超えた。売上全体の70%がスーパーゼネコンから受注する建築金物類で、協力会社の力を借りて現場での施工まで行う。新型コロナウイルス感染防止の観点から工事が中断することはあったものの売上の落ち込みはなく、微増となった。加工から溶接・組立、塗装、施工までの全工程をワンストップで対応する総合メーカーとして発展している。

新井社長は「現在も2022年に開業予定の『ジブリパーク』や、半導体製造工場の新設に関連した大型案件を受注しており、目標とするグループ年商30億円達成のめどが立ちました」と先行きに自信を深めている。

画像:社員全員が目標達成のために自分自身のPDCAを実践左:曲げ工程にはHD-1703LNT(手前)やHG-2204(中央)など、曲げ長さ3m以上に対応するベンディングマシンが並ぶ/右:溶接工程は羽島工場へ移管されたが、一部の作業は冨田工場でも行われている

会社情報

会社名
株式会社 アライ
代表取締役
新井 敏男
所在地
愛知県一宮市北今定納27-1
電話
0586-61-1113
設立
1985年
従業員数
100名(グループ合計130名)
主要事業
建築金物設計・製作・施工、精密機械板金加工・組立、建設機械部材の板金加工
URL
http://www.aq-corp.com/

つづきは本誌2021年10月号でご購読下さい。

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