大板材6m対応の高速・高生産性レーザマシン導入事例
自走式に代わるLC-6030θⅢを導入
建築以外の仕事も幅広く開拓して事業拡大を目指す
中央スチール 株式会社
お客さまの要望に応えられる設備力
中央スチール㈱は、1933年に現社長の父、森田謙吾氏が創業した。森田氏は岐阜県各務原市内の鋼材商社、㈱奥田太佐男商店で働き、新世日本金属㈱の創業に参加。その後、夫人の縁で、大野町内で中央スチールを創業。建築・建設機械・工作機械などで、幅広く使用されている鋼板の切断・溶断加工を行ってきた。
近年は鋼板の切断・溶断のみならず、ドリルマシンでの穴あけ、開先加工機による切削加工、ショットブラストによる表面処理の設備などの2次加工を強化、お客さまの要望に応えられる設備力を備えてきた。
溶断機メーカーでの経験を生かす
設備は、板厚100㎜までの溶断加工に対応する加工範囲3,100×13,000㎜のガス溶断機2台、ポータブルガス切断機1台、300Aの出力で加工範囲3,200×24,000㎜、板厚4~36㎜まで対応のプラズマ切断機1台、そのほか4kW発振器を搭載した自走式レーザマシン1台だった。
森田勝也社長は大学卒業後、溶断機メーカーに就職、溶断機販売の仕事に4年ほど関わった。その後転勤し、中京地区の鋼材加工業界で3年ほど営業担当として経験を積んだ。
同社に入社してからは溶断機の販売・サービスの経験を生かし、大野町周辺の工作機械や航空機・バス車体関連の企業を中心に営業開拓していった。そして2006年、2代目社長に就任し、父の森田謙吾氏は会長となった。
リーマンショック後は建築関連にシフト
ところが社長就任から2年後の2008年、リーマンショックが起きた。同社も受注が大きく落ち込んだが、建築関連の落ち込みは軽微で済んだことから、建築関連の仕事が全体の70~80%を占めるようになった。
1996年には3kW、1998年には6kWのレーザマシン、開先加工機、プラズマ切断機を導入。2012年には4kWレーザマシン、穴あけ用のドリルマシン、2013年にはショットブラスト機、コピーボーラー、それ以降はドリルマシン、NCガス溶断機を導入し、2次加工工場を増設、穴あけ加工機は5台体制となった。さらに2017年に開先加工機、2018年にドリルマシンとバンドソーを更新するなど、2次加工に対応する新鋭設備を導入していった。
森田社長は「リーマンショック後は、工作機械関連もサプライヤーの数が減り、現在は建築関連主体で動いています。以前から受注していた建設機械関連の仕事はそれほど大きく変化していません。建築以外の仕事をもっと受注するためにも、今後はさらに自社営業を強化し、産業機械関係を増やしたい」と受注環境に対応した営業力強化について語る。
レーザマシンLC-6030θⅢの導入経緯
「当社はこれまで開先、穴あけ、ブラスト加工などの2次加工設備を強化してきました。鉄骨工事の標準的な要領書JASS6が改定され、レーザによる穴あけ加工が認められるようになったため、切断、穴あけ加工の能力増強も考えるようになりました。また、これまでは中3日かかっていた納期を、短納期化する必要があるとも考えました」(森田社長)。
そこで課題になったのが、レーザマシンだった。
「それまではレール長さ45mのテーブルに3kWと6kWの2台の発振器を搭載した自走式のレーザマシンを活用、加工ヘッドを備えたコラムがレール上を移動して加工していました。しかし、粉塵が大気中に拡散したり、ドロスが床に落ちたりと、工場環境は決して良いとは言えませんでした」。
「また、加工が終了してもテーブル上の製品とスケルトンを処理しないと次の材料を載せられないので加工が止まってしまう。発振器を搭載したコラムが移動するので、位置決め精度が良くない。加工が終わって次の加工点へ移動するまでに時間がかかる ― といった問題点もありました」。
「ちょうどそのくらいの時期にファイバーレーザ発振器を搭載した自走式のレーザマシンが出てきました。ビームハンドリングがファイバーケーブルで行えるので光学系が簡素になり、加工スピードも速くなりました。それまでのCO2レーザの課題も少し改善されましたが、自走式という構造的な問題はそのままの状態でした」。
「そんな時にアマダの展示会場でレーザマシンLC-6030θⅢと、多段式パレット棚AS-61020PCの実演を見て驚きました。スピードが速く、パレットを交換するとすぐに次の加工に入ることができる。マシンの稼働中に加工し終わったパレットを呼び出し、製品の仕分け・回収ができるので加工を中断することがない。さらに、加工する前の鋼板にインクジェットプリンターで製番・ロットナンバーなどを印字できるため、加工後に製品とスケルトンの処理が簡単にできます」。
「また、加工モニタリング機能を備えているので、バーニングなどへの対処がすぐにできます。さらに、小さな穴は加工ヘッドが移動して加工し、大きな穴はテーブルが移動して加工する、加工速度を調整できるなど、これまでの自走式にはなかった特長を備えていました。溶断業界に対応したマシンということで、厚板の切断面品質もファイバーレーザで加工したものより、はるかに高品位で加工できます。これらの話を総合してアマダのレーザマシンが優れていることがわかりました」。
「さらに決定的だったのが、省スペースなところです。新しいレーザマシンは敷地内駐車場の一部(約600㎡)に建設する新工場に導入する計画でしたが、ここに自走式を設置するとなるとスペース的に問題がありました。しかし、LC-θⅢであれば多段式パレットを含めても余裕があるため、導入を決断しました。LC-θⅢでは6〜16㎜、19㎜を主体に加工することを考えました」(森田社長)。
会社情報
- 会社名
- 中央スチール 株式会社
- 代表取締役
- 森田 勝也
- 住所
- 岐阜県揖斐郡大野町五之里塚町106
- 電話
- 0585-32-4401
- 設立
- 1993年
- 従業員数
- 30名
- 主要事業
- 一般鋼材・シャーリング・レーザ切断・プラズマ切断・厚板精密溶断・各種加工品・ステンレス・非鉄金属・鋼構造物加工一式
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