板金業界に起きている新たな潮流
『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫
2019年の市場規模に戻るのは2022年中
毎年1月号では、板金加工との関わりが深い業界の市場動向を分析しており、今年も8ページにわたって「主要業種別トレンド分析」の記事を掲載しています(16ページ参照)。多くの業界で昨年9月頃を境に業績が上昇に転じており、小誌では2021年の景気はゆるやかに回復、2019年の市場規模に戻るのは2022年中になると予測しています。
好調が続く半導体製造装置業界
好調なのは、半導体製造装置業界です。半導体製造装置の中でも前工程装置を主力とする東京エレクトロンは、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大や米中摩擦の激化など不透明な外部環境にもかかわらず、2020年度(2021年3月期)通期業績予想として過去最高の売上高 ― 前年度比15.3%増の1兆3,000億円を見込んでいます。
東京エレクトロンの河合利樹社長はメディアのインタビューで「サーバー向けの新型CPUの登場にともない、DRAM投資の再開に期待が持てる。また、5G対応のスマートフォンの普及にともない、メモリー需要が喚起され、NAND、DRAMともにモバイル向けの復調が見込まれている」「米中関係は注視していくが、未来に向けた半導体の重要性は不変だ」(電子デバイス産業新聞、2020年9月11日付)と強気の発言をしています。
半導体市場は、70年以上の歳月をかけて4,000億ドルを超える巨大市場に成長してきましたが、今後の成長スピードはさらに加速する見通しです。2030年には1兆ドルを超えるとの予測もあり、70年かけて成長してきた市場がわずか10年で2倍以上に拡大することになります。
東京エレクトロンは主力板金サプライヤーに対して「2021年はビッグイヤーになる」として増産対応を要請しているようです。半導体製造装置に占める板金部品の割合は高く、それだけに半導体市場が伸び、半導体製造装置市場が拡大することは大いに歓迎したいところです。
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