特集2

板金業界のコロナショック度

日本のものづくり、コロナショックからの回復の道筋

“ポスト・コロナ”を見据え、社会構造の変化に備える

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世界の2020年成長率見通しは▲3.0%

中国湖北省武漢市で最初の感染者が出てから約5カ月、世界の様相は一変した。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)は地球上のほぼ全域に広がり、約100年前のスペイン風邪以来の大規模なパンデミックとなった。

過去最長の拡大を記録した世界経済は現在、新型コロナの感染拡大により急失速し、景気後退に陥っている。各国政府はウイルスの脅威をできるだけ迅速に収束させるため、経済および社会活動を極限まで抑制する対応を採っている。これにより3月からは、多くの国で生産と需要が急激に落ち込んでおり、活動抑制が継続・強化されていることから、短期的には非常にきびしい経済状況が続くと考えられる。

国際通貨基金(IMF)は4月14日、「THE GREAT LOCKDOWN」(大封鎖)と題した世界経済見通しを公表した。IMFで、この見通しを作成する前提として、パンデミックがすべての国の経済活動に影響をおよぼし、2020年1-3月期に大きな影響が生じた中国を除いて、2020年4-6月期に被害が集中すると想定している。

IMFの世界経済見通しによると、2020年の世界の経済成長率は▲3.0%となった(図1)。リーマンショック後の2009年の世界の経済成長率は▲0.1%で、今回はそれを大幅に下まわる予想であり、世界恐慌以来最も深刻な落ち込みとなる。国・地域別にみると(図2)、世界経済をけん引してきた米国の2020年の経済成長率は▲5.9%で、1月の予想(+2.0%)から急減した。リーマンショック直後の2009年(▲2.5%)と比べても相当にきびしい落ち込みだ。経済活動が大幅に制約されたユーロ圏も、▲7.5%と大幅な景気後退となり、外出制限が続くイタリアは▲9%と予測されている。新型コロナの影響を真っ先に受けた中国は4-6月期から段階的に回復軌道に戻り、+1.2%を維持できそうだ。

画像:日本のものづくり、コロナショックからの回復の道筋図1:世界全体の実質国内総生産(GDP)の前年比推移

画像:日本のものづくり、コロナショックからの回復の道筋図2:主要国・地域の実質GDP成長率推移

日本は▲5.2%と、1月の予想(+0.7%)を大幅に下まわった。リーマンショック時の2009年の▲5.4%とほぼ同水準だ。先進国・地域の成長率は▲6.1%であることから、日本の成長率のマイナス幅は比較的小さいといえる。これは、欧米諸国と比べて日本で取られている外出規制などの措置がゆるいことを反映しているためと考えられるが、感染拡大が長期化するとさらに下落する可能性はある。

日本企業の景況感も短期間で大幅に悪化

3カ月に一度、企業の景況感を調査する「日銀短観」 ― 2020年3月調査の業況判断指数(DI)は大幅に悪化した(図3)

画像:日本のものづくり、コロナショックからの回復の道筋図3:日銀短観の業況判断指数(DI)

「大企業・製造業」の業況判断指数は、昨年末の2019年12月調査では「0」だった。消費増税などの影響もあり、新型コロナの騒動が起こる前から「大企業・製造業」の景況感は5四半期連続で落ちていた。それが2020年3月調査では「▲8」まで落ちた。

さらに、これまで比較的堅調だった「大企業・非製造業」は、2019年12月調査では「+20」だったが、2020年3月調査では「+8」で、一気に12ポイント落ちた。

中小企業を見ると、「中小企業・製造業」はもともと「▲9」だったのがさらに落ち込み「▲15」に、「中小企業・非製造業」も「+7」から「▲1」に沈んだ。製造業・非製造業ともに、中小企業は大企業を上まわる落ち込みを示している。

つづきは本誌2020年6月号でご購読下さい。

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