特集

第32回優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介

全体がR面の塊 ― 総型を積層金型で製作

初応募の「センターカバー」で「経済産業大臣賞」を受賞

有限会社 小緑製作所

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画像:全体がR面の塊 ― 総型を積層金型で製作①「経済産業大臣賞」を受賞したの「センターカバー」(SPHC・板厚9.0㎜、W958×D565×H260㎜)/②「センターカバー」は上部と下部で径が異なり、全体がR面の塊となっている

除雪作業用アタッチメントの大型パーツ

画像:全体がR面の塊 ― 総型を積層金型で製作小緑英輝社長(右)と製造部ブランク係の廣田芳彦係長(左)

㈲小緑製作所の「センターカバー」が「第32回優秀板金製品技能フェア」で「経済産業大臣賞」を受賞した。この作品は、除雪作業に使われるホイールローダー(タイヤショベル)対応アタッチメント「マルチプラウ」の先端部に取り付けられる大型パーツ(SPHC・板厚9㎜、高さ約1m)で、実用に供されている製品である。

「マルチプラウ」の「センターカバー」の両サイドには、雪をかき出す羽根のような「カッティングエッジ」が取り付けられ、除雪の際には運転席にいながら任意に動かすことができる。カッティングエッジとセンターカバーのすき間は、雪の侵入を防ぎ、両サイドにカッティングエッジを取り付けるために最小限のすき間精度が要求され、センターカバーには±1.5㎜の寸法精度が求められる。

画像:全体がR面の塊 ― 総型を積層金型で製作左:3次元CADで作成した積層金型のソリッドモデル/右:パンチ・ダイそれぞれの積層金型

以前の勤務先の商社から紹介された仕事

従来はマルチプラウのメーカーがカッティングエッジとともに4分割されたセンターカバーを製作していたが、作業負荷軽減の必要性などから3年ほど前に一体で加工できるサプライヤーを探すようになった。

たまたま声がかかった商社には、小緑製作所の小緑英輝社長が同社に入社する前に勤めていた縁があって、商社の担当者から小緑社長に相談が持ちかけられた。それがきっかけとなって、この仕事を引き受けることとなった。

小緑社長は次のように経緯を語っている。

「相談を持ち込まれ、北海道のメーカーで現物を見せていただきました。年間生産台数は約250台、4分割されたセンターカバーの部材は板厚9㎜で、200トンプレスを使って成形し、溶接して製品に仕上げていました。金型も4種類必要で、型費を含め製造コストがかかっていました。加工にバラツキが生じ、溶接後の仕上げ作業に工数を取られ、製作工数やコストがかかっていました」。

「実機の動きも見せていただき、センターカバーの役割を理解しました。カバーは上部と下部で径が異なり、形状はほぼ半円、全体がR面の塊でした。この形状にはプレス成形が適していますが、型費だけでも高額になります。金型製作をどうするか、また、当社が保有するプレスは150トンまでしかなく、加圧能力が不足しないか、という心配もありました」。

画像:全体がR面の塊 ― 総型を積層金型で製作左:成形後の「センターカバー」/右:「センターカバー」と「カッティングエッジ」を取り付けた除雪作業用アタッチメント「マルチプラウ」

会社情報

会社名
有限会社 小緑製作所
代表取締役社長
小緑 英輝
住所
滋賀県蒲生郡日野町北脇1-253
電話
0748-53-2715
設立
2005年(1988年創業)
従業員数
30名
主要事業
板金加工とプレス加工による鋼製家具、機械装置カバー、搬送装置部品製作
URL
http://www.komidori.co.jp/

つづきは本誌2020年5月号でご購読下さい。

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