特集2

成長する医療機器産業をサポートする板金加工

医工連携で医療現場向けウェアラブルチェアを開発

オープンイノベーションによるマーケティングとプロモーションに取り組む

株式会社 ニットー

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画像:医工連携で医療現場向けウェアラブルチェアを開発①㈱ニットーが開発を進めている医療現場向けウェアラブルチェア「archelis(アルケリス)」/②3次元CADでウェアラブルチェアの設計を行う藤澤社長

医療現場向けウェアラブルチェアを開発

画像:医工連携で医療現場向けウェアラブルチェアを開発代表取締役の藤澤秀行氏

㈱ニットーが医工連携により開発を進めている医療現場向けウェアラブルチェア「archelis」(アルケリス)が注目を集めている。

モノづくりの視点からみた最大のポイントは、薬機法上の製品カテゴリーが「医療機器」ではなく、薬機法規制対象外の「雑品」に相当すること。そのため、煩雑な薬機法承認の手続きが不要で、製造・販売に際してもISO13485や医療機器製造販売業許可、医療機器製造業許可といった特別な認証類を取得する必要がなく、Webショップや雑貨店などでの一般発売もできる。

医療現場のニーズとしては、医療機器だけでなく、手術用具などを載せる医療用カートや点滴スタンド、介護用歩行器といった「雑品」の名前が必ず挙げられる。「アルケリス」の正式な発売はこれからだが、モノづくり企業が医工連携により「雑品」という切り口から医療分野参入の道筋をつけたモデルケースとしても注目されている。

画像:医工連携で医療現場向けウェアラブルチェアを開発左:内視鏡手術の執刀医がウェアラブルチェアを装着した状態。スネ部と大腿部に体重が分散されることで、中腰の姿勢で“座る”ことができ、長時間手術の筋肉疲労を抑制できる/中央:ウェアラブルチェアの大腿部。当初は板金の突き曲げで成形していたが(左)、現在は金型を製作してプレス加工で成形している(右)/右:ウェアラブルチェアのスネ部。外周切断後に突き曲げでR形状に成形し(左)、コンターマシンでトリムを行っている(右)

3度のM&Aで一貫生産体制を構築

同社は1967年の創業以来、自動車や電機向けの金型製造を手がけてきた。2004年以降は、事業継続が困難となっていた量産プレス加工企業(2004年)、アルミの板金・溶接を手がける企業(2005年)、厚板のプレス加工企業(2008年)をM&Aで取得。失われようとしている加工技術・ノウハウ・得意先を継承するとともに、設計・試作・試作品検証・量産検討・金型製作・量産品検証・品質管理・量産にトータルで対応できる体制を構築し、総合力に裏づけられた製品開発力を身につけ、得意先メーカーのパートナー企業として存在感を高めてきた。

2012年からは自社製品の企画・開発・製造・販売にも取り組みはじめ、「ヌンチャクケース」の愛称で知られる「iPhone Trick Cover」(以下、iPhoneケース)や、被写体の360度回転画像を撮影する「くるみる」といった製品をリリース。クラウドファンディングやクラウドソーシングといったWebサービスを駆使することで、中小製造業の自社製品開発の新たなモデルを提示し、「ものづくり白書」(2013年・2014年)や「中小企業白書」(2016年)にも紹介された。

藤澤秀行社長はFacebookなどのSNSを活用した異業種連携や、「全日本製造業コマ大戦」の運営にも携わり、中小製造業の活性化に取り組んでいる。また、横浜青年経営者会(青経会)のメンバーを中心としたモノづくり企業10社とデザイナーとのコラボで「YOKOHAMA MAKERS VILLAGE」というブランドを立ち上げ、今年4月にイタリアで開催された世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ」で12種類の花器を共同出展するなど、活躍の場を広げている。

画像:医工連携で医療現場向けウェアラブルチェアを開発左:2016年9月に導入したパンチングマシンEMZ-3510MⅡ/中央:曲げ長さ3mまで対応できるベンディングマシンHDS-1703NT/右:サーボプレスSDE-1522をはじめとしたプレスマシンが並ぶ

会社情報

会社名
株式会社 ニットー
代表取締役
藤澤 秀行
住所
神奈川県横浜市金沢区鳥浜町14-16
電話
045-772-1371
設立
1967年
従業員数
36名
主要事業
プレス金型製作、プレス加工、板金加工、機械部品加工、治工具設計製作、溶接加工、製品開発、製造
URL
http://nitto-i.com/

つづきは本誌2017年7月号でご購読下さい。

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