特集2

好調な台湾板金業界

ODM商品が売上の80%

2017年は30%成長を目指す

皇鋼機械 股份有限公司

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画像:ODM商品が売上の80%①3次元CAD KeyCreatorで工作機械カバーのモデリングを行う/②同社でデザイン・設計・製作を一貫して行った工作機械カバー

工作機械メーカーの設計部長から独立

画像:ODM商品が売上の80%許来春董事長

1994年に皇鋼機械股份有限公司を設立した許来春董事長は15年間、台中市内の工作機械メーカーの設計部門に勤めるサラリーマンだった。退社する直前まで設計部門の責任者として手腕をふるっていた。自分たちが設計した工作機械の外観はカバーで決まる。そのため設計部門にいた当時から、機械カバーの機能を損なわない意匠に配慮、自分たちのイメージどおりの外観品質が得られたかどうか、カバーづくりを行う板金サプライヤーのモノづくりに関心を持つようになっていった。

当時の台湾の板金業界は黎明期で、事業としても魅力があった。そこで15年間勤めた工作機械メーカーを退社し、知人の紹介で台中市内の板金工場で半年間、板金加工の実務を経験させてもらい、抜き・曲げ・溶接と板金加工技術を一通り学んだ。そして1994年8月、150坪の工場から皇鋼機械股份有限公司を起業した。

  • 画像:ODM商品が売上の80%カバーのモデリング作業中に問題が生じると、設計者を交えたミーティングを迅速に行う
  • 画像:ODM商品が売上の80%2016年に導入したファイバーレーザマシンLCG-3015AJ+LST-3015G

半導体・FPD製造装置関連の仕事を新規開拓

加工設備は、アマダ台湾からパンチングマシンPEGA-357、ベンディングマシンRG-80、シャーリングマシン、コーナーシャーの4台を導入、社員4名を採用し、許董事長を含め5名でスタートした。

仕事は、以前勤めていた工作機械メーカーから受注した。事業は順調に軌道に乗り、4年後の1998年に工場を1,500坪の現在地に移転する際は、メーカーにも出資を依頼し、株主になってもらった。このメーカーからは現在も継続して仕事を受注している。

しかし、1997年のアジア通貨危機や2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックで、工作機械業界は景気減速の影響を受け、需要が大きく変動。工作機械カバーだけで事業を続けることに成長の限界を感じるようになった。そこで同社は、台湾が世界に誇る電子部品業界にターゲットを絞り、半導体・FPD製造装置を中心に電子部品製造装置関連のカバー・フレーム製作の仕事を積極的に開拓するようになった。また、工作機械の周辺装置であるチップコンベヤー、ATC(自動工具交換装置)、APC(自動パレット交換装置)、テレスコピックカバーなどを設計・提案するなど営業努力を行った。

こうした努力が実を結び、得意先は30社にまで増え、売上全体に占める工作機械カバーの比率は60%にまで抑えられた。

  • 画像:ODM商品が売上の80%“見える化”の一例。溶接現場では、製品モデルを確認しながら溶接作業を行う
  • 画像:ODM商品が売上の80%同社で製作したODM商品のチップコンベヤー

会社情報

会社名
皇鋼機械股份有限公司
董事長
許来春
住所
台湾・彰化縣和美鎮全興工業區興工路262號
電話
+886-4-7994189
設立
1994年
従業員数
70名(グループ会社含む)
主要事業
工作機械カバー
URL
http://www.hkch.com.tw/

つづきは本誌2017年5月号でご購読下さい。

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