特集

変種変量生産に対応する曲げの自動化

曲げデータ全自動作成システムとHG-ATCによるスマートなモノづくり

株式会社 アマダ V-factory推進部門 V-factory企画部

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画像:曲げデータ全自動作成システムとHG-ATCによるスマートなモノづくり①自動金型交換装置(ATC)付きベンディングマシンHG-1003ATC/②VPSS 3i BENDの画面

ブランク工程からベンディング工程における曲げデータ全自動作成システム「VPSS 3i BEND」と「多品目一括段取りソフト」、ベンディング自動化「HG-ATC」ソリューションによるスマートなモノづくりの実現についてご紹介します。

アマダのスマートなモノづくり

進化したVPSS―「VPSS 3i」

アマダは1990年代初頭から板金製造業の生産性向上を目指し、工場のデジタル化とネットワーク化を推進。内段取りの外段取り化による稼働率の改善、不良撃退、技術伝承などを実現する「VPSS」(Virtual Prototype Simulation System)をご提案してきました。

近年、製造業をとりまく環境は、メーカーのグローバル化による海外生産・製品ライフサイクルの短期化により、アセンブリー・ターンキー受注の増加とともに、さらなるコストダウンや短納期化が要求され、「多種少量生産への対応力」と「モノづくり力」の強化が必要不可欠な時代へとパラダイムシフトしています。

アマダはVPSSのコア技術である単部品のブランク・曲げ加工に対応する「立体姿図」をもとに、製品全体・全工程に対応できる新しい立体姿図を開発。マシンの最適な加工プログラムの作成、現場作業の効率化・スキルレス化、そしてアセンブリーでの不良防止など、全工程で効率化するモノづくりデータを短時間で作成・管理できるようにVPSSを進化させました。この進化したVPSSがお客さま工場をスマートファクトリー化する「VPSS 3i」です。

VPSS 3iは新しいコア技術で実現されます。「板金モノづくりモデル」(Sheetmetal Engineering Model)の頭文字を取って「SEM」と呼ぶ、板金製造にかかわるあらゆるデータを格納できる技術です。アセンブリーでの板金部品(パーツ)、非板金部品、3次元形状、展開図、加工方法、加工マシン、加工順序、工程順序、図面や画像など、様々な情報を一括して管理することができます。

VPSS 3iのモノづくりでは、製品の完成形から各パーツにバラしていき、組立、溶接、曲げと、後工程から問題なく加工できるか検証していきます。特に曲げ工程においては、今まで表現できなかった成形形状やファスナー・スタッドなど2次加工部品の取り付けを反映した加工可否検証が行えるようになりました。

各工程で問題があれば都度パーツデータを修正し、すべての工程で問題なく加工できるパーツデータが作成されます。これが板金加工における「リバース・エンジニアリング」です。(図①)

画像:曲げデータ全自動作成システムとHG-ATCによるスマートなモノづくり①最新のデジタル板金工場を支える「VPSS 3i」

VPSS 3iの3つの特徴

①リバース・エンジニアリング
最終形状からバラシを行い、溶接、曲げ、ブランクと前の工程に戻りながら加工を検討し、加工技術をデジタル化することで、手戻りのない“最適な工程”と“最適なプログラム”の作成が行えます。

②「4D加工シミュレーション」
モノづくりが3次元化される中で、さらにブランク~曲げ~溶接という工程の流れを考慮したシミュレーション―つまり、3次元に時間軸(工程)が反映された「4D加工シミュレーション」が行えます。

③システム連携
VPSS 3iが中核となり、様々なマシン・ソフトのそれぞれの仕組みの良いところを連携(ハブ化)することで、さらに効率の良い運用が行えます。

最新デジタル板金工場でのモノづくり

VPSS 3iによるモノづくりにおいて中心となるのが、板金モノづくりモデル「SEM」です。

SEMは、3次元データ・2次元データ・AP100データから作成でき、従来は不可能だったアセンブリーでのパーツ管理、板金の工程情報、加工方法や加工順序など、製造に必要な情報を一括管理できます。

また、SEM上で、曲げ加工による穴の変形、組立・溶接時の曲げ膨らみによる干渉の回避、組立・溶接工程の位置決め用のケガキやセンターポンチの挿入、溶接箇所の突き合わせ指示などの加工属性の指示などが行えます。

その後、溶接工程からブランク工程に遡りながらの板金加工可否シミュレーションとプログラム作成が行えます。

それにより、製造現場での不良・手戻りの未然防止、全工程の加工ノウハウの伝承・管理・活用、そしてモノづくり全体のリードタイム大幅短縮、安定した品質での短納期生産を実現します。(図②)

画像:曲げデータ全自動作成システムとHG-ATCによるスマートなモノづくり②VPSS 3iによる最新デジタル板金工場でのモノづくり

つづきは本誌2017年2月号でご購読下さい。

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