特集

変種変量生産に対応する曲げの自動化

コンピュータの有効活用で社員1人ひとりをつなぐ

曲げのロボット化、段取りレス化を目指す

株式会社 小林製作所

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画像:コンピュータの有効活用で社員1人ひとりをつなぐ左:HG-ARs。グリッパー交換装置(手前)とロボットによる曲げ加工(奥)/右:2016年7月に導入したベンディングマシンHG-1003ATC。自動金型交換装置(ATC)が付いている

2018年に創業100周年を迎える

2016年12月末の午後、㈱小林製作所を訪れた。時節柄、多くの来訪者があり社内は活気づいていた。工場を歩くと1枚取りを行う自動倉庫MARSにつながったパンチングマシンHMX-3610NTや、2台のパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NTが無人で稼働。曲げや溶接、組立、検査、梱包・出荷工程では仕掛り品が台車に載せられたまま移動し、半数以上の社員が残業で作業にあたっていた。

なかでも、検査・梱包・出荷エリアの前には台車に載せられた半導体製造装置向けのステンレス製品が何十台も並んでいる様子を驚きの思いで見た。

画像:コンピュータの有効活用で社員1人ひとりをつなぐ小林靖典社長。自社製生産管理システムSopakのディスプレイには、HG-ATC(左)とHG-ARs(右)の稼働状況を映している

「36(サブロク)協定」に対応した省熟化・自動化

「月間の受注アイテム数は約10万件。そのうちの50%(約5万点)が半導体製造装置メーカー向けです。今年、検査・梱包・出荷エリア付近に簡易クリーンルームを増強し、半導体製造装置の組立も一部はじめました。来年の半導体関連の仕事は、かなりの増産体制になる見込みです。スマートフォンや車載向け半導体が好調なようです。12月は仕事量が少し減ったため、この先の発注動向を予測しながら、受注を前倒しして生産手配をかけています」。

「現場は毎日2時間以上の残業で、時には休日出勤で対応しています。しかし、所定外労働時間は、原則として1カ月45時間・1年間360時間です。会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働、および休日勤務など、限度時間を超えて延長しなければならない特別の事情が生じた場合、労働基準法36条に従い、労働組合などと書面による協定(36協定)を結び、労働基準監督署に届け出る義務があります。中小企業にとって、『36協定』は遵守しなければいけませんが厳しい壁です」。

「また、最近は人手不足が深刻で、外国人実習生に頼りがちになっています。そのため、熟練技能がともなう曲げや溶接工程の技術伝承が課題となっています。当社の経営理念のひとつである『時間あたりの生産性向上を目指し、コンピュータの有効活用によって一人一人を活かし、一人一人をつなごう』に基づき取り組んできたデジタル化への取り組み、ロボットを導入して省熟化・自動化を図ることが重要な課題となってきました」と、小林靖典社長は、最近の繁忙ぶりと中小製造業を取り巻く労働環境について語る。

  • 画像:コンピュータの有効活用で社員1人ひとりをつなぐHG-ATCが加工した製品の実績履歴は工程管理板(vFactory)で確認できる
  • 画像:コンピュータの有効活用で社員1人ひとりをつなぐ工場内の壁には大型ディスプレイを設置。現場作業者にさまざまな情報・メッセージを配信している

会社情報

会社名
株式会社 小林製作所
代表取締役
小林 靖典
住所
石川県白山市水島町429-17
電話
076-277-7330
設立
1947年(1919年創業)
従業員数
110名
主要事業
精密板金・組立・塗装・提案型設計、システム開発・販売
URL
http://www.kobayashi-mfg.co.jp/

つづきは本誌2017年2月号でご購読下さい。

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