新工場完成で次の成長・発展を目指す板金企業
強みの溶接技術を生かした大型盤筐体の一貫受注で成長・発展を続ける
長年の懸案だった自前の新工場が竣工 ― ENSIS-AJe導入で加工領域を広げる
有限会社 タケイサンキ
新工場に導入した単体仕様のファイバーレーザマシンENSIS-3015AJe
「製糸王国」の衰退から始まる同社の沿革
佐塚健社長
㈲タケイサンキの創業者・武居長次氏は製糸業で発展し、明治から昭和初期にかけて「製糸王国」として全国一の生産量を誇っていた諏訪・岡谷地域にあった製糸機械メーカーの開発技術者だった。しかし、和服需要の減退、安価な輸入生糸の増加、化学繊維の台頭、経済不況が重なり衰退、疲弊する中で勤務先が倒産したのを機に独立。独自技術による製糸機械を開発して、1961年に個人創業し、1964年に同社を設立した。
しばらく事業は順調だったが、次第に製糸業界の構造不況のあおりを受けるようになった。めっき工場用設備の仕事を下請けするなどして事業を継続させてきたが、メーカーとして自社商品の製造・販売が困難になるなかで、機械装置の製造に欠かせない機械カバーや制御盤、操作盤などを製作するため、板金加工による受託加工へと事業をシフトさせていった。
組立ロボット用制御盤の筐体を製作
1980年代に地元の大手企業から米国向けの電子部品の組立ロボット用制御盤の筐体製造を受注し始めると、一時期は従業員も20名以上に増加し、月間100面以上の盤筐体を製造するようになった。また、この時期に前後して創業者の長女の夫が2代目社長に就任。現社長の佐塚健氏は、その片腕として製造部門を見るようになった。
ところが、1990年代に入ると嵩(かさ)の大きい筐体は輸送費などの関係から現地調達に代わり、同社への発注がなくなった。そこで制御盤の筐体製造で培った技術を生かして、カスタム対応の大型筐体に特化して受注するようになった。この頃に2代目社長が体調を崩し、その後8年間にわたって佐塚氏が実質的に経営を見ることになった。そして2004年に2代目から懇願され、佐塚氏が3代目社長に就任した。
左:2025年2月に1,800坪の敷地に竣工した㈲タケイサンキの新工場/右:ベンディングマシンHG-1303。大型・長尺ワークの曲げ加工に対応するため追従装置を装備している
2004年に3代目社長に就任
「社長に就任した当初は財務経営の知識もなく、資金繰りについてもまったくの手探り状態でした。家内からは反対されましたが、とにかく私財を注ぎ込んで事業継続をはかりました。大型の筐体は幅3,600㎜、高さ2,300㎜にもなります。社内でブランク加工から曲げ、溶接を行い、協力工場で塗装してもらってから、お客さまに納品する必要がありました。こうした筐体を毎月10面以上出荷していました。また、大型洗浄装置のカバーに使われるシャーシなども受注するようになりました」。
「2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、経済環境の影響を受け、減収減益になったこともありました。しかもその頃、私を支え、財務会計も見てくれていた家内が亡くなりました。それでもなんとか事業だけは継続してきました」(佐塚社長)。
大型盤筐体を8面並べて作業できる溶接工程
溶接済みの制御盤
会社情報
- 会社名
- 有限会社 タケイサンキ
- 代表取締役
- 佐塚 健
- 所在地
- 長野県上伊那郡箕輪町三日町544-1
- 電話
- 0265-98-9582
- 設立
- 1964年
- 従業員数
- 7名
- 主要事業
- 制御盤・操作盤・産業機械カバー・シャーシなどの加工
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