製造業で躍動する女性たち

仕事の満足感とオフとの明確な切り替えで「毎日に充実感を覚える」

すべての社員をファイバーレーザ溶接工に ― お互いに助けあえるサポート体制を構築

株式会社 山梨ワークス 検査課 今井 留美子 さん

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画像:仕事の満足感とオフとの明確な切り替えで「毎日に充実感を覚える」検査課の今井留美子さん

「拡大よりも進化」を引き継ぎ、新たなステージへ

画像:仕事の満足感とオフとの明確な切り替えで「毎日に充実感を覚える」左から赤池健拡社長、込山祐規会長、原澤篤人社長

山梨県中央市の㈱山梨ワークスが、新たに生まれ変わろうとしている。創業者として25年以上同社を牽引してきた込山祐規会長が退任、3月からは娘婿の赤池健拡社長原澤篤人社長の2トップで会社を盛り立てていく。2人は込山会長のモット ー 「拡大よりも進化」を引き継ぎ、企業規模の拡大よりも進化―より良い製品を、より早く、より低コストでつくることで、競争力を高めていこうとしている。

そのための方法として考えているのが「ACIES-2512T-AJの有効活用」と「すべての社員がファイバーレーザ溶接FLW-1500MTを使えるようにすること」だ。とくに後者は全社を挙げて取り組んでおり、性別や年齢、事務職か製造職か、溶接経験の有無を問わず、従業員14名全員が扱えるようにするため、2024年末から勉強会や講習を開始した。

その中でも特に適正が高いとされているのが、検査課の今井留美子さんだ。本人の意欲も高いことから、今後はファイバーレーザ溶接を含む、複数の工程を担う多能工人材としての成長が期待される。

今回は新体制に切り替わる直前の2月に同社にうかがい、話を聞いた。

画像:仕事の満足感とオフとの明確な切り替えで「毎日に充実感を覚える」左:夜間運転による効率化でコストダウンに寄与することが期待されるファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ/右:自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC(手前)などが並ぶ曲げ工程

人柄、社内の雰囲気の良さに惹かれて入社

今井さんが同社に入社したのは2024年1月。もともとはシングルマザーとして子育て中心の生活を送っていたという。育児の手が離れてからも病院でSPD(医療機関で使用する医薬品や医療消耗品の在庫を管理し、安全に供給・搬送する仕事)などのパートとして働いていた。製造業やものづくりとは無縁だった彼女の生活が変わることになったのは子どもが自立し、フルタイムで働くための技術を身につけようと職業能力開発促進センターを訪れたことが契機となった。

「見学会でマシニングセンタが金属などを削っていく様子を見て、おもしろいと思ったのがきっかけです。とくに深い考えがあったわけではありません。衝動的にやってみたいと感じました」(今井さん)

2020年7月に山梨職業能力開発促進センターの機械CAD/NC科に入学。溶接を学べる科もあったが、夏に汗だくで作業している様子を見て「これはきびしい」と除外してしまったという。半年間に渡り、NC旋盤やマシニングセンタの操作方法、2次元CADの基本などを学んだ。卒業後は切削加工企業に入社して3年程、マシニングセンタのオペレータや製品検査、納品などの業務を行った。しかし突然、勤め先の破産が決まった。今後のことを考えたときに思い浮かんだのが、納品先のうちの1社である「山梨ワークス」だった。

「納品に来た際に何度かお話をさせてもらったことがあり、込山会長の人柄や社員さんの優しさ、会社の雰囲気の良さに惹かれて入社を決意しました」と今井さんは振り返る。

  • 画像:仕事の満足感とオフとの明確な切り替えで「毎日に充実感を覚える」ハンディファイバーレーザ溶接機FLW-1500MTで溶接を行う今井さん
  • 画像:仕事の満足感とオフとの明確な切り替えで「毎日に充実感を覚える」取材の前日に今井さんが溶接した鉄道用信号システム関連品。均一できれいな溶接が行われている

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

会社情報

会社名
株式会社 山梨ワークス
代表取締役社長
赤池 健拡
代表取締役社長
原澤 篤人
所在地
山梨県中央市一町畑1028−27
電話
055-274-6966
設立
2000年(1999年創業)
従業員数
15名(2025年2月段階、役員を含む)
主要製品
半導体製造装置、鉄道用信号システム、空調機器関連、機械装置関連など
URL
http://www.ynwks.co.jp/

つづきは本誌2025年4月号でご購読下さい。

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