協働ロボットを活用したファイバーレーザ溶接の自動化
2002年頃からレーザ溶接技術を活用して加工領域を拡大
得意先に最良の製品を提供するため、常にものづくりのトレンドをキャッチする
株式会社 ファイネス
左:ファイバーレーザ溶接機FLW-1500MT+CR-700Wによる溶接作業/右:上がTIG、下がFLW-MT+CRで溶接したテストピース。比較すると曲線部の正確さに大きな差が出ている
2025年8月に社長交代
㈱ファイネスは今年8月、創業社長だった金杉賢治氏が会長に、副社長だった井上享氏が2代目社長に就任するという人事を発表した。金杉会長はまだ55歳と若いが、数年前から事業承継について考えており、以前取材したおりにも「ファミリーカンパニーですから第三者に継承するのも難しいので、子どもが事業承継を考えるまで“ワンポイントリリーフ”を立てるのもありだと思っています」と話していた。井上社長がそうなのかは定かではないが、先々を考えての社長交代であることはまちがいない。
左から勝田瑠真溶接チーム主任、本橋中製造部長、井上享社長、金杉賢治会長
金杉会長は「世界中の人々にファイネスのより良い製品をお届けし、喜んでいただきたいという思いは井上社長も人一倍持っています。お客さまへ最良の製品をご提案してお届けするためには、お客さまに関心を持ち、お客さまをよく知り、情報を深く理解することが大切です。そこでの出会いが最良の製品をつくり出し、お客さまのためになり、喜びへとつながっていく、という信念を持っている井上社長が率先垂範で当社の今後をリードしてくれると思います」と井上社長への信頼を語っている。
左:㈱ファイネスの本社工場/右:レーザマシンFO-MⅡ 2412NT+LST-2412FMⅡ
「ものづくりの可能性に挑み続ける!」
同社は金杉会長が1998年に父や兄とともに行っていった金属加工工場から独立し、溶接事業を中心とした企業として創業。2002年頃から板金加工に参入した。創業当初から医療機器や半導体ウエハー検査装置などに用いられる、板厚0.1㎜、0.2㎜の薄板から、4.0㎜、6.0㎜までのステンレス製品を得意としてきた。板金加工に参入してからは食品機械や包装機械を手がけるようになった。
2014年には、現在地に2,000坪の土地を取得し、第1工場(板金加工)、第2工場(組立)、第3工場(機械加工)を完成。「ものづくりの可能性に挑み続ける!」を経営理念に掲げ、ステンレス加工をメインとする精密板金加工、機械加工から、組立配線まで対応する一貫生産体制を構築した。
「2次・3次サプライヤーとしてパーツ加工だけを手がけていては成長が見込めない」(金杉会長)と、パーツ加工からアセンブリーまでのワンストップ対応を強みに、メーカーとの直接取引を強化。搬送装置・包装機械・食品機械・半導体検査装置、半導体製造装置などの部品加工から、溶接、組立までを一貫して行うことで事業を発展させてきた。
2017年からはものづくりの可視化に挑戦。300~400点の部品で構成される受注製品の部品単位での原価管理・品質管理を徹底するため、生産プロセスの進捗・実績管理を徹底。“量”から“質”への転換に取り組んでいる。
売上の40%あまりを食品機械・包装機械関連が占めており、得意先は50~60社。毎月継続取引がある得意先は10~20社で、主要10社で売上の80%以上を占めている。加工材料の80%がSUS304、SUS430などのステンレスとなっており、板厚は3.0㎜までが多く、薄板は0.5㎜までが多い。
2025年7月期の売上高・営業利益は得意先の輸出向け製品の落ち込みが影響し、前期比でマイナスとなったが、今期は持ち直すと予測している。
井上社長は「前期から定期的に外部コンサルタントに来ていただき、営業部門に新規顧客の開拓や顧客満足度改善への取り組みなどを指導していただいています。今期はこうした指導の成果で新規顧客開拓による売上増に期待しています」という。
自動金型交換装置を備えたHG-1003ATCは、入社8年目で機械板金2級技能士の神多絵子主任が操作する
包装機械の組立
会社情報
- 会社名
- 株式会社 ファイネス
- 代表取締役会長
- 金杉 賢治
- 代表取締役社長
- 井上 享
- 所在地
- 埼玉県飯能市茜台3-5-4
- 電話
- 042-978-7406
- 設立
- 2000年
- 従業員数
- 45名(パートなども含む)
- 主要事業
- ステンレス加工をメインとする精密板金加工、粉体・液体容器製作、医療機器・食品機械の製作・組立
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