板金論壇

コロナ禍で変わる製造現場と人材育成

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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高齢化率が上がる生産年齢人口

少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じ、総人口も2008年をピークに減少に転じている。総務省の「人口推計」(令和2年10月1日現在)によると、2020年の総人口は1億2,532万人、生産年齢人口(15歳~64歳)は7,449万人。14歳以下の人口は1982年から連続して減少が続いており、少子化に歯止めがかからない状況である。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(2017年4月発表、出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2030年には1億1,913万人、2060年には9,284万人(2010年人口の27.5%減)まで減少すると見込まれている。生産年齢人口は、2030年には6,875万人、2060年には4,793万人(同40.8%減)まで減少すると見込まれている(下図)

就労人数について長期的にみると、就業者のうち非雇用者(自営業主や家族従業者など)数が減少する一方、雇用者数は2011年以降増加傾向にある。パートやアルバイト、契約社員、嘱託など非正規の職員・従業員が増加することによって、就労機会の多様化とともに新たな雇用機会が提供され、短期的には雇用者数が増加している。その反面、1990年代後半よりこうしたパートタイム労働者比率の上昇が続いていることも起因し、雇用者1人あたりの総労働時間数は減少傾向がみられる。

画像:コロナ禍で変わる製造現場と人材育成日本の人口の推移

外国人労働者に頼る現場

コロナ禍の長期化が予測される中で、比較的好調な製造業界では、一部で人手不足が顕著になっている。板金業界でも半導体製造装置、工作機械などに関連した板金製品を受注する企業の間で、休日出勤や時間外労働時間が増える企業も見受けられる。

しかし、働き方改革によって長時間の時間外労働の上限規制は強化されている。36協定の時間外労働の上限は1カ月単位で45時間まで、1年単位で360時間まで(休日労働は含まず)。1年単位の変形労働制を採用している場合は、1カ月42時間まで、年間320時間までとなっている。

生産年齢人口の減少とそれにともなう人手不足を穴埋めするために外国人技能実習生を受け入れて対応する企業も多くみられた。2019年には、特定産業分野において相当程度の知識または経験を持つ外国人に向けた在留資格として「特定技能制度」が新たに設けられた。特別な育成や訓練を受けることなく、すぐに一定の業務をこなせる水準であることが認められた技能実習生は、特定技能1号の資格を取得すると日本に在留できる期間が通算5年に延長されるなどの措置が講じられた。

しかし、コロナ禍の長期化によって技能実習生の出入国が困難となり、新規の面接・雇用契約ができない状況が続いている。

つづきは本誌2021年10月号でご購読下さい。

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