特集

大板材6m対応の高速・高生産性レーザマシン導入事例

建築鉄骨向け切板の“フル加工”に対応

JASS6改定を受けてレーザマシンLC-θⅢを導入 ― 月200トンが最低ライン

株式会社 山村

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画像:建築鉄骨向け切板の“フル加工”に対応①フライングオプティクスタイプの高速・高生産性レーザマシンLC-6030θⅢ(6kW)によるレーザ加工/②SS400・板厚12㎜のガセットプレートの切断面

事業譲渡で厚板加工事業をスタート

画像:建築鉄骨向け切板の“フル加工”に対応山村春美社長(中央)と、両脇を固める内山直哉取締役営業部長(左)と井上和真取締役工場長(右)

薄板販売・厚板加工事業を手がける㈱山村は、1988年、山村春美社長によって設立された。

山村社長はもともと、大阪に本社を持つブリキコイルセンターの東京支店に勤務していたが、1988年に退職し、40歳で個人企業「山村」を起業した。設立当初は、山村社長の自宅マンションの一室を事務所とし、ブリキ製品の輸出を主とした薄板販売事業を展開していった。

転機が訪れたのは、設立から22年後の2010年。知人を介して、日鐵商事(現・日鉄物産)系列の群馬鉄鋼販売㈱の「厚板溶断事業」の事業譲渡を持ちかけられた。

リーマンショックの影響により建築・鉄骨業界はどん底の時期。不採算事業とはいえ、70~80社の得意先(ほぼすべてが鉄骨加工のファブリケーター)を持ち、従業員・工場・設備もそろっている状態で事業を譲り受けるチャンスなどほかにはない。山村社長は事業を引き継ぐことを決意し、㈱山村 群馬支店「GSC事業部」(GSC:Gunma Steel Cutting)として厚板加工事業をスタートした。

長引く不況とリーマンショックの爪痕は深く、決して恵まれた経営環境ではなかった。しかし、厚板加工業の経験が浅いことを逆手に取り「先入観と固定観念を捨てろ」と繰り返す山村社長のリーダーシップによって、GSC事業部は少しずつ生産体制を強化していった。また、切板だけでなくH型鋼・アングル・鋼管・冷延鋼板・熱延鋼板・亜鉛メッキ鋼板の穴あけ・曲げ・開先・ショットブラストといった2次加工まで手がける「建築鉄骨向け切板の“フル加工”」と、1~3日の超短納期に対応する「最短納期での対応」を前面に出し、顧客のニーズを獲得していった。

画像:建築鉄骨向け切板の“フル加工”に対応SS400・板厚12㎜、2,100×6,090㎜にパーツが敷き詰められたネスティングデータ

旺盛な建築鉄骨需要を背景に増収増益

2019年4月期の売上・営業利益はともに2ケタ増。旺盛な鉄骨需要を背景に、スプライスプレートやガセットプレートといった鉄骨用部材の切断・穴あけ・開先加工の注文が増加している。今後もしばらくはこの状況が続くとの想定から、最新鋭の自動化・省力化設備を次々に導入しており、「今期も増収増益を見込んでいます」(山村社長)という。

同社は建築鉄骨用部材全般の加工を手がけ、製品としてはダイヤフラム、ベース、スプライスプレート、ガセットプレートなど。受注アイテムのうち70~80%は2次加工付きで、物件の引合いが入ると、ひとつの建物に使用する鉄骨部材を一式で受注する。首都圏の物件向けが中心だが、最近は長野・新潟・静岡・愛知など中部・信越方面の物件を手がけるケースも増えてきた。

事業を引き継いでから8年半の間に得意先数は100社に増加。そのうち毎月定期的に受注するのは80社程度となっている。ただし、Sグレードのファブとの直接取引はゼロで、Hグレード以下(H・M・R・J)が中心。「無理にハイグレードのお客さまと取引する必要はない。それよりも小規模のお客さまを数多く集めることにより、リスク分散と利益率の改善をはかろう」という山村社長の方針に基づいている。

  • 画像:建築鉄骨向け切板の“フル加工”に対応加工が終わると現場作業者が集まり、一気に仕分けを行う
  • 画像:建築鉄骨向け切板の“フル加工”に対応工場内にはネットワークカメラが設置され、外出先でもスマートフォンからマシンの稼働状況を確認できる

会社情報

会社名
株式会社 山村
代表取締役
山村 春美
本社
千葉県鎌ケ谷市粟野626-1-110
群馬支店
群馬県伊勢崎市日乃出町644-1
電話
0270-24-7712(群馬支店)
設立
1988年
従業員数
70名
主要事業
レーザ加工・プラズマ加工、NCガス加工、丸鋸加工、ショットブラスト加工、開先加工、孔あけ加工、曲げ加工/スプライスプレート、H形鋼、コラム、アングル、チャンネル、FB、その他の鋼材の加工全般

つづきは本誌2019年7月号でご購読下さい。

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