管理部門を一手に担うナンバーツー
人手不足解消のためには自動化・省力化が不可欠
株式会社 北陽製作所 専務取締役 北原 陽子 氏
看護師からの転身
北原陽子氏
北原陽子専務は、日本赤十字武蔵野短期大学(現・日本赤十字看護大学武蔵野キャンパス)を卒業し、看護師免許を取得、5年間を武蔵野赤十字病院で勤めた。その後、派遣看護師として病院勤務をこなしていたところへ、父である北原完治会長(当時・社長)から「時間があるなら、うちに来ないか」と声をかけられた。
北原専務は「高校生のときに看護師を志して以来、医療の現場ひと筋で、“普通の会社”というものを知らずにいました。ですから、父から『看護師以外の仕事を体験してみるのもいいんじゃないか』と誘われたときは、素直におもしろそうだと感じて、入社を決めました」と振り返る。
この段階では、事業継承のことはまったく頭になく、北原会長も「少しもアテにしていなかった」と語っている。
ブランク工程の主力、パンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT+AS-2512C1
レーザマシンLC-1212αⅣNT
JMCで自社の魅力を再認識
北原専務は入社後、管理部門で経理・総務・営業事務などを担当。看護師とはまったく異なる業務内容に、当初は戸惑うことばかりだった。
「入社当初は売掛金や買掛金もわからないレベルで、手形の概念もよくわかりませんでした。簿記の扱いは学べても、資金繰りとなるとまた話がちがってきます。生産設備の高額さにも驚きましたし、金融機関から数千万円の融資を受けるために父が個人保証の判をつくことにも、たじろぎました」。
「いつ辞めるかわからない状態だった」という北原専務だが、入社から1年半が経った29歳のときに受講したJMC(経営後継者育成講座)が、ひとつの転機になった。
「JMCでは、一口に事業継承者といっても様々な立場の方々に出会いました。同世代や、大学を卒業したての若い受講者もいて、みなさんの意識の高さや、年齢以上に成熟した考え方に刺激を受けました。また、自分の会社を客観的に見られたことで、父や母や社員の方々が支えてきた北陽製作所という会社が、業界の中では私が想像している以上に財務内容の良い優良企業で、恵まれた環境にあること
を再認識することができました。その後は、事業を継承する立場として、これからも北陽製作所を盛り立てていきたいという思いが自然と芽生えてきました」。
左:HD-8025NTなどが並ぶ曲げ工程/右:ステンレスの高品位溶接に対応するYAGレーザ溶接機YLR-1500Ⅱ
会社情報
- 会社名
- 株式会社 北陽製作所
- 代表取締役
- 篠原 秀賢
- 専務取締役
- 北原 陽子
- 取締役会長
- 北原 完治
- 住所
- 埼玉県入間市寺竹46-22
- 電話
- 04-2936-4360
- 設立
- 1974年
- 従業員数
- 26名
- 事業内容
- 精密板金加工全般
つづきは本誌2016年6月号でご購読下さい。