特集

第34回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介

20枚の歯車によるからくり機構で「動きのある作品」を製作

「METANICALBOX」が「神奈川県知事賞」を受賞

ナサ工業 株式会社

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画像:20枚の歯車によるからくり機構で「動きのある作品」を製作「神奈川県知事賞」を受賞した「METANICALBOX」(SUS304・板厚1.0㎜・2.0㎜・3.0㎜・4.0㎜・6.0㎜、W700×D400×H520㎜)

2度目の「神奈川県知事賞」を受賞

画像:20枚の歯車によるからくり機構で「動きのある作品」を製作左から、長澤貢多社長、システム制御課の本田翼さん、板金工作課の川崎誠さん、機械工作課の横尾稜剣さん、板金設計課の木村友佑さん、業務課でチームリーダーの木下達矢さん、塗装課の貝原光良さん、長澤敏光専務

「第34回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「組立品の部」に出品したナサ工業㈱「METANICALBOX」が「将来の製品化に期待が持てるアイデアや考え方、技術・技能が含まれている作品」に授与される「神奈川県知事賞」を受賞した。

この作品は160のパーツで構成されている。大小20枚の歯車を利用して、からくり機構をつくり出しており、ハンドルをまわすことで扉の開閉を連続して行うことができる。歯車は板材からレーザ加工で切り出し、1点ずつ手作業でバリ取り・面取りを行った。高精度な加工により垂平方向だけでなく、垂直方向にも歯車がかみ合い、すべての歯車が引っかかることなくスムーズに連動する。扉の開閉にはクランク機構によるアームの押し出し機構を採用しており、歯車に取り付けたアームが歯車の回転を利用してスライドし、上下左右に扉を押し出すことができる仕組みになっている。

「開」状態では4枚の扉が同時に開くため内部の構造を確認することができる。内部は鏡面仕上げされており、パーツの複雑さと相まって見応えがある。「閉」状態では扉がズレることなくすべて閉じきり、ボックスの状態にすることができるなど、見せ方にも工夫した作品となっている。

  • 画像:20枚の歯車によるからくり機構で「動きのある作品」を製作高精度な加工により垂平方向の歯車のかみ合いだけでなく、垂直方向のかみ合いも実現でき、すべての歯車が引っかかりなく連動する
  • 画像:20枚の歯車によるからくり機構で「動きのある作品」を製作「METANICALBOX」の3次元モデル

社員研修の一環として毎年欠かさず板金フェアに参加

同社は社員研修の一環として、第23回(2010年度)から毎年欠かさず、板金フェアに応募している。受賞歴は第25回(2012年度)の「単体品の部」に出品した「壺」が金賞、第28回(2015年度)の「組立品の部」に出品した「スケルトンエスカレーター」が「経済産業大臣賞」、第29回(2016年度)の「単体品の部」に出品した「FLAT-PANEL-CHAIR」が「厚生労働大臣賞」を受賞している。

第30回(2017年度)では「組立品の部」に出品した「ギアクロック」が「神奈川県知事賞」、「単体品の部」に出品した「Stitched Tube Ring」が「日刊工業新聞社賞」、「高度溶接品の部」に出品した「じょうろ」が銅賞を受賞する「トリプル受賞」を達成した。2020年度に開催された第33回では「単体品の部」に出品した「曲旋」が「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞するなど、ほぼ毎年、上位賞を受賞している。

第34回となる今回も2つのチームが応募。「組立品の部」に出品した「METANICALBOX」が同社2度目の「神奈川県知事賞」、「単体品の部」に出品した「円舞(エンブ)」が技能賞を受賞した。

長澤貢多社長は「3~4チーム編成した時期もありましたが、第30回(2017年度)以降は2チームに絞り、参加しています。リーダー役を決めてからメンバーを集め、作品のコンセプトを打ち合わせて、全員のアイデアを盛り込んだモデルを3次元CADで作成。そのモデルからワイガヤを行い、バラシ・展開~溶接工程を経て組み立て、完成品となります。作業進捗はリーダーが責任を負います。専務や部課長、先輩がアドバイスすることもありますが、基本はチームの合議で進めています」という。

画像:20枚の歯車によるからくり機構で「動きのある作品」を製作左:自動金型交換装置を備えたベンディングマシンHG-1003ATCで曲げ加工をした/右:工場の可視化が進んでいて、工場内のどこからでも受注や負荷の状態を確認できる

会社情報

会社名
ナサ工業 株式会社
代表取締役
長澤 貢多
所在地
福岡県糟屋郡須恵町大字佐谷1323-1
電話
092-932-1126
設立
1974年(1969年創業)
従業員数
100名
主要製品
エスカレーター外装(設計・製作・工事)、エスカレーター付帯製品、エレベーター付帯製品、医療・機械装置向け精密板金部品、車輌部品、配電盤設計・製作、サイン・建築金物、電気工事・プラント工事向け各種金物、各種開発設計・製作協力
URL
http://www.nasakogyo.co.jp/

つづきは本誌2022年5月号でご購読下さい。

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