Interview

顧客の要望を「カタチ」にする

SDGsへの取り組みを通じて2050年までのありたい姿を考える

株式会社 三松 代表取締役社長 田名部 徹朗 氏

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画像:顧客の要望を「カタチ」にする田名部徹朗氏

金属加工をベースに機械装置および部品の設計・製造、システム開発を中心に地域に根ざしながら、半導体製造装置、通信機器、医療機器、産業用ロボット、建築金物など幅広い顧客の要望を「カタチ」にするものづくりを行っているのが㈱三松。同社の特徴は「小ロット=1個からでも製造する」という、顧客のニーズに寄り添うこだわりだ。「こんなものがほしい、つくりたい」という顧客のニーズに対応したものづくりを徹底している。その姿勢を極めながら世の中の変化に対応していく中で人材を育成し技術伝承に注力。製品だけでなく、顧客の夢やアイデアを社員が一緒になって「カタチ」にする「小ロット製造代行サービス会社」として成長を続けている。

同社は2020年4月以降のコロナ下でも半導体製造装置、医療機器を中心に売上を伸ばしており、2021年度の売上高は創業以来最高となる30億円超えを達成した。2022年度も半導体製造装置の受注は引き続き好調に推移している。

さらに、経営のもう一方の柱「開発工房SIDセンター」で行う産業用ロボットを中核としたシステム開発や運用、サービスを行うシステムインテグレーターとしての事業が順調に発展している。その高い技術力で大手メーカーからの信頼も得て、川崎重工業、三菱電機、安川電機などのロボットパートナー認定を相次いで取得している。顧客からの要望に応じてソフトウエアの設計や運用、コンサルティングに至るまでさまざまな仕事を請け負うSIer(エスアイアー)として、産業用ロボットメーカー、検査装置メーカー、大学・試験研究機関などと協業している。現在は手術用・検体検査用・リハビリ用、厨房向け作業用、農作業用のロボットなどの受注も堅調となっている。

今年度中には増産対応のため新工場の建設にも着手、自動化と省人化を兼ねた板金加工設備を新規導入し、加工能力も強化する予定だという。そこで、田名部徹朗社長に同社の事業のこれからの展望について話を聞いた。

ロボットSIerとしても発展

― 「2022国際ロボット展」に「開発工房SIDセンター」で開発されたロボットシステムを発表されていました。「小ロット製造代行サービス事業」に加え、SIerとしての事業が伸びていますね。

田名部徹朗社長(以下、姓のみ) 当社はさまざまな企業、大学、スタートアップなどのお客さまから部品製作だけでなく、装置開発支援のご依頼もいただけるようにエンジニアリング体制を強化、その一環として「開発工房SIDセンター」を開設しました。人による操作が必要で機器単体では効率的な運用ができない装置でも、各メーカー様のご協力により人手での操作が不要な自動化装置に生まれ変わらせることができると提案をしています。

そして、自動化・省人化を推進するソリューション事例を体現する場所として「三松スマートファクトリー構想」に基づいて、自社工場のIoT化を推進し、実際に導入・稼働している当社オリジナルの装置やソフトウエアのソリューションをご紹介し販売を行うとともに、お客さまのご要望に対応するカスタマイズも行っています。また、板金をはじめとした部品加工事業では「超特急短納期サービス」(Super Express:SE)により在庫ロスを最小限におさえたビジネスモデル(SEチーム)を活用していただくことで最適なタイミングで部品をお届けする事業を展開しています。

こうした幅広い事業活動の中、今回の「国際ロボット展」では開発工房SIDセンターで製作された3次元ビジョンを搭載した検査・計測ロボットでのタイヤ計測デモ作業や、㈱デクシス様とコラボした外観検査装置の2種類のロボット導入事例をご紹介させていただきました。

同展は世界最大規模のロボット専門展です。今回は「ロボットがつなぐ人に優しい社会」をテーマに開催され、国内外から最先端の産業用・サービス用ロボットおよび関連機器が展示されました。画像解析やセンシング技術の向上によって、実用に適したロボットが2年前に比べて圧倒的に増えていました。ここにきてさまざまな業界への適用例が増えてきたことをあらためて実感するとともに、いよいよ本格化してきたと思いました。当社のビジネスにとっても追い風となっています。

  • 画像:顧客の要望を「カタチ」にするファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTK
  • 画像:顧客の要望を「カタチ」にするACIES-AJにはピッキング仕分け+自動識別機能が付いており、製品のキズ防止のため、プラスチック段ボールを挟んで集積することもできる

受託加工の事業は前期比1.5倍

― 板金の受託加工部門のお仕事が大変お忙しいとうかがっています。

田名部 前年同期と比較すると受注は150%になっています。特に半導体製造装置が好調で、3年前には売上全体の30%程度でしたが、直近では48%とほぼ半分を占めるまでになっています。当社は、国内の主要な半導体製造装置メーカーのうち4社からお仕事をいただいています。お客さまからは『もっとやってほしい』というご要望をいただいていますが、人手不足もあって生産能力は手一杯の状態です。一部のお客さまには納期遅延でご迷惑をおかけしたこともあります。

そこにエンジニアリングがらみで医療用ロボットや、飲食業・農業の自動化を目指す作業用ロボットなどに関連した新規の案件を受注しています。運用・サービスに関連したソリューションを開発するとともにシステム

アップに対応した機器や部品の加工、調達、組立なども行うようになっており、仕事の幅が広がっています。

  • 画像:顧客の要望を「カタチ」にする自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-2204ATC。手前には大型モニターが設置され、工場内のどこからでも工程進捗や生産性が見られるようになっている
  • 画像:顧客の要望を「カタチ」にするデジタルインフラSINS(三松統合生産管理システム:Sanmatsu Integrated Network System)の現場端末

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会社情報

会社名
株式会社 三松
代表取締役社長
田名部 徹朗
所在地
福岡県筑紫野市岡田3-10-9
電話
092-926-4711
設立
1972年
従業員数
160名(2022年3月時点)
主要製品
FAロボット装置・半導体製造装置・建築部品・食品機械・業務用厨房・医療機械・液晶関連装置・通信インフラ設備・電子部品・車両部品・事務用機器・農林水産機械・水処理装置・生ごみ処理機・その他
URL
https://www.sanmatsu.com/

つづきは本誌2022年5月号でご購読下さい。

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