特集

イージーオペレーションを実現するREGIUS-AJシリーズ

建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献

従来比1.5~2倍の生産性 ― ブランク工程のボトルネックが解消

有限会社 トツカ製作所

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画像:建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献今年9月に導入した新型ファイバーレーザマシンREGIUS-3015AJ(6kW)。フォーク式パレットチェンジャーASFH-3015G、窒素ガス発生装置PSA-505HT(500リットル)とともに導入した

長年かけて培った建機部品の製作ノウハウ

画像:建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献代表取締役の塚本英三氏(左)とチーフエンジニアの實川巌さん(右)

㈲トツカ製作所塚本英三社長は60年弱にわたり板金・製缶一筋でものづくりに打ち込んできた。16歳のときに千葉県の金属加工会社に入社し、25歳で仲間5人とともに新会社を設立、そして1990年に42歳で独立し㈲トツカ製作所を創業した。

創業後は、大手建設機械メーカーの2次サプライヤーとして、油圧ショベルなどに用いる部品の切断・穴あけ・曲げ・溶接を手がけてきた。長年の継続取引により培ってきた建設機械部品の製作ノウハウ ― 中でも溶接技術の高さには、得意先も高い信頼を寄せている。

2020年5~6月はコロナ禍の影響で業績が大きく落ち込んだ。夏からは回復に向かったが、2021年3月期の売上高は前期比11.6%減となった。しかし、今期(2022年3月期)は建設機械市場の回復と、新型ファイバーレーザマシンの増設による生産能力の増強により、前期比21.1%増を見込んでいる。

建機向け板金・製缶部品のものづくり

同社が製作しているのは、建設機械のエンジン・冷却装置・電子部品などの収納部に用いるカバーやブラケット類。油圧機器や燃料タンクを収納する「ハウス」などは、パイプ・形鋼を組み上げたフレーム構造となっている。

加工する材料は、鉄系材料が95%を占め、SPCCの板厚1.6~2.3㎜、SS400-P(酸洗材)の板厚3.2~16㎜が中心となっている。

リピート率は90%以上と高い。主力の油圧ショベルはおよそ5年周期でモデルチェンジとなり、同社が試作を行った部品は、そのまま量産につながる。リピート率の高さを生かし、溶接工程には複数のステージを備えたアーク溶接ロボット5台を導入し、効率化をはかっている。

ロットサイズは1~60個で、中心ロット帯は20~30個。ロット1~2個の部品は、1カ月に1台販売するかどうかといった特殊機向けで、リピートが見込まれるようなら、あらかじめまとめ生産を行って在庫から払い出す。中にはウエルドナットや小物部品の溶接だけ行い、仕掛り在庫として保管して、確定注文が入ってから組み上げる製品もあり、在庫を活用しながら短納期対応と生産効率化をはかっている。

  • 画像:建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献「i-Nozzle Checker」の履歴をNC端末AMNC 3i Plusに表示したところ。「切れない原因をチェックするときに役立つ」(實川さん)
  • 画像:建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献ステンレス・板厚9㎜に対してφ3㎜の小径穴(矢印部)をREGIUS-AJで加工したテストサンプル。これまではボール盤で追加工していた

レーザマシンの導入でボトルネックを解消

今年9月、新型ファイバーレーザマシンREGIUS-3015AJ(6kW)をフォーク式パレットチェンジャーASFH-3015G、窒素ガス発生装置PSA-505HT(500リットル)とともに導入した。これで同社のブランク工程はファイバーレーザマシンREGIUS-AJ、CO2レーザマシンFO-MⅡ2412NT(パレットチェンジャー付き)、パンチングマシンPEGA-357Ⅱの3台体制となった。

溶接・製缶に関しては処理能力・加工品質の両面で強みを持つ同社だが、先頭のブランク工程は常に課題を抱えていた。創業直後の1993年以降は、パンチングマシンPEGA-357Ⅱとシャーリングにより切断・穴あけ加工を行ってきた。板厚3.2㎜以下はPEGAで加工し、4.5㎜以上の中・厚板は外部のレーザジョブショップに加工を委託していた。しかし、ブランク加工の多くを外注に頼るかたちでは繁忙期の納期対応が難しいうえ、仕事量に比例して外注費もかさんでいった。

2015年にはFO-MⅡ 2412NTを導入し、レーザ加工の内製化をはかった。板厚1.6~3.2㎜はPEGAで、板厚4.5~16㎜はFO-MⅡで加工することにより、レーザ加工の外注費はほぼゼロになった。この段階で、機械加工や表面処理などを除き、基本的には社内で加工を完結できる体制が整った。

しかし、仕事量の増加にともなってブランク工程が再びボトルネックとなり、FO-MⅡのオペレータが毎日残業をしても追いつかない状況が続いた。また、導入してから25年以上が経過したPEGAがいつ壊れるかわからないという心配もあった。

塚本社長は2018年頃からブランク工程の増強を考えるようになり、2019年に東京ビッグサイトで開催された「MF-TOKYO」でアマダのファイバーレーザマシンENSIS-AJの実演加工を見て、「次に入れるならアマダのファイバーにしよう」と決めた。「棚もうまく動いていたし、板厚9㎜でもFO-MⅡとは比べものにならないくらい高速で加工できていた」と塚本社長は振り返る。

レーザマシンの増設計画が具体化したのは2020年11月頃。アマダの新型ファイバーレーザマシンREGIUS-AJがリリースされて間もないタイミングで、塚本社長は迷うことなく最新機種(REGIUS-AJ)の導入を決断した。

  • 画像:建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献曲げ工程の主力機は曲げ長さ3mまで対応できるHD-1303NT
  • 画像:建設機械向け板金・製缶部品のものづくりにREGIUS-AJが貢献複数ステージを備えたアーク溶接ロボット5台を設備し、ロボットが溶接している間に段取りや仕上げを行う

会社情報

会社名
有限会社 トツカ製作所
代表取締役
塚本 英三
所在地
千葉県山武市麻生新田236-2
電話
0475-89-0106
設立
1990年
従業員数
25名
主要製品
建設機械などの板金部品のレーザ加工・曲げ加工・溶接

つづきは本誌2021年12月号でご購読下さい。

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