特集

安定成長する医療機器を支える板金加工

画像診断装置・検体検査装置の仕事が好調

WILLを活用して発注フォーキャストを導き出す

稲葉板金 株式会社

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画像:画像診断装置・検体検査装置の仕事が好調ブランク工程。レーザマシンLC-1212αⅤ、パンチングマシンEM-2510MⅡ、パンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NTが並ぶ

X線画像撮影装置向け板金加工業として開業

画像:画像診断装置・検体検査装置の仕事が好調江川欣秀副社長(左)と稲葉剛史社長(右)

稲葉板金㈱の創業は1957年、足立区内で先代がX線画像撮影装置(レントゲン)に使われる板金部品の加工を手がける工場として開業した。先代は、ハンマーとポンチで高精度な丸穴加工ができる高いスキルを備えていた。その腕をX線画像撮影装置メーカーの社長に見込まれ、資金援助を受け、ケトバシやハゼ折り機(バッタ)などの機械を購入して、業容を広げていった。

創業と同じ年に生まれた稲葉剛史社長は、工場に併設された自宅で暮らし、小さい頃から工場で働く両親の背中を見て育った。大学を卒業した稲葉社長は1989年に㈱アマダメトレックス(現・㈱アマダ)に入社、城東営業所の業務担当者として活躍した。業務担当者でありながら金型にも精通し、入社2年で販売実績は国内トップ、業務リーダーに就任した。

ところが入社3年目頃、実家から「仕事の手が足りないから戻ってほしい」と要請があり、1992年に工場を手伝うようになった。

画像:画像診断装置・検体検査装置の仕事が好調左:生産管理や展開・プログラムを行う事務所。生産管理システムWILL(手前)の活用で加工情報と生産情報の一元管理を実現/右:曲げ工程。HG-8025(写真)、HG-5020などを活用している

“3チャン企業”からの変革を期する

稲葉社長は家業に戻ってからの様子を次のように語る。

「当時は両親と私のいわゆる“3チャン企業”で設備も古かった。父は典型的な職人で、持ち前の技術力を駆使し、アナログなものづくりで対応していました。頭脳展開でイメージした展開図をもとに材料にケガキ線を入れ、シャーリングで切断し、コーナーシャーで切り欠きを行い、簡単な金型交換ができるパンチングマシンで穴あけをして、曲げ・溶接を行って製品を完成させていました」。

「このままではダメだと思い、自分が入社する条件としてパンチングマシンを新たに導入してほしいと父に頼みました。そしてPEGA-244と自動プロAP40を導入しました」。

「私は、職人としてたしかな腕を持った父のそばで育ってきたおかげで、たとえば3方向Rが組み合わさった複雑な製品図面もAP40で展開することできました。歩留り率を稼ぐため、マニュアルでネスティングデータを作成し、できるだけPEGAで定尺材のネスティング加工を行っていました。寝る間も惜しんで働く毎日でした」。

  • 画像:血液自動分析装置の仕事が70%弱画像診断装置に使われる部品
  • 画像:血液自動分析装置の仕事が70%弱新工場2階に設置された在庫ラックシステム

会社情報

会社名
稲葉板金 株式会社
代表取締役
稲葉 剛史
所在地
埼玉県草加市手代3-54-12
電話
048-960-0178
設立
1986年(1957年創業)
従業員数
24名
主要製品
医療機器・コンピュータ周辺機器・通信機器・レジャー施設などの板金加工製品
URL
http://inaba-mp.co.jp/

つづきは本誌2020年9月号でご購読下さい。

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