特集

安定成長する医療機器を支える板金加工

新型コロナウイルス対応で医療機器関連の仕事が伸びる

“Q,C,D+C”で顧客価値創造に貢献

株式会社 清水精機

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画像:新型コロナウイルス対応で医療機器関連の仕事が伸びる①ポータブルX線画像撮影装置の前後に取り付くアームの部品/②医療機器の板金部品/③LC-2012C1NT+MP-1225NJ×2台は、自動倉庫MARS(5列9段)と連動し、24時間稼働している

医療機器分野の売上構成比50%を達成

画像:新型コロナウイルス対応で医療機器関連の仕事が伸びる清水貴博社長

㈱清水精機は、放送機器、写真現像・プリント機器、アミューズメント機器、分析機器、医療機器、食品機械、福祉機器、駅務機器などを手がけてきた。

ここ数年は、医療機器分野の売上拡大を目指して事業を展開。継続取引する医療機器メーカーからは、従来の内視鏡関連機器以外にX線画像撮影装置や検体検査装置などの仕事を開拓し、2020年4月期は目標にしてきた「医療機器分野の売上構成比50%」を達成した。今後も、同分野のさらなる売上拡大を目指していく。

コロナ禍で医療機器需要に変化

医療機器は世界で40兆円超の市場があり、市場規模では米国が約40%となっている。

みずほ銀行によると、医療機器の国内需要は▲1.4%となった2015年を除き、2010年から2017年まで年平均成長率3.9%で推移した。中期的には高齢化の進展にともない、透析装置などを含む生体機能補助・代替機器や、手術で使用する処置用機器などで堅調な需要が見込まれる。他方、医療機関の機能統合により画像診断システム、生体現象計測・監視システムなどの装置系は需要が減少すると見られており、2019年から2024年までの年平均成長率は2.1%程度と予測されている。

2020年の国内医療機器市場は、診療報酬改定にともなう特定保険材料の公定価格引き下げにより、比較的低い伸びになると予想されていた。ところが、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大で様相が激変した。

新型コロナの感染の有無はPCR検査で判定される。肺炎を発症すれば、呼吸困難など重篤な症状に陥るケースも増えているため、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)などの需要が増加した。また、肺炎の症状を確認する画像診断装置(CT)、血液検査などの検体検査装置、簡易的な検査ができるポータブルX線画像撮影装置に対するニーズも生まれている。

  • 画像:新型コロナウイルス対応で医療機器関連の仕事が伸びるベンディングマシンHDS-8025NTが並ぶ曲げ工程
  • 画像:新型コロナウイルス対応で医療機器関連の仕事が伸びるハンディプローブ3次元測定器による検査工程

医療機器分野の受注拡大が奏功

その結果、同社の得意先である医療機器メーカーの検体検査装置やポータブルX線画像撮影装置の需要も増加。7月以降の月産台数は4月と比べて2倍以上となった。

これまで受注してきた内視鏡分野は、日本消化器内視鏡学会などが新型コロナ感染予防の観点から、急患を除く内視鏡検査・治療の延期を提言したこともあり、需要が一時的に後退している。それを検体検査装置やポータブルX線画像撮影装置が補うかたちとなり、医療機器分野の受注拡大へ向けた同社の努力が、ここへきて実を結んだ格好だ。

さらに、得意先の医療機器メーカーは、別の医療機器メーカーの画像診断装置事業の買収を発表。CTやMRIといった高度な画像診断装置の製造にも乗り出して医療機器分野の事業を拡大する方針を打ち出しており、同社にとっては大きなチャンスとなっている。

画像:新型コロナウイルス対応で医療機器関連の仕事が伸びる左:TIG溶接を行った医療機器部品/右:検体検査装置の内部筐体の側板

会社情報

会社名
株式会社 清水精機
代表取締役社長
清水 貴博
所在地
埼玉県新座市中野1-5-10
電話
048-481-800
設立
1984年
従業員数
32名
主要事業
精密板金部品(医療機器用・光学機器用・測定機械器など)の製造
URL
http://shimizuseiki.co.jp/

つづきは本誌2020年9月号でご購読下さい。

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