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第31回優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介

板金加工で「できない」とは言わない

経済産業大臣賞受賞で報奨制度も確立

株式会社 佐藤医科器械製作所

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画像:板金加工で「できない」とは言わない経済産業大臣賞を受賞した「ねじりパイプ」(SUS304・板厚0.6㎜、W490×D80×H80㎜)

板金加工で「できない」とは言わない

画像:板金加工で「できない」とは言わない佐藤進平社長(左)と経済産業大臣賞を受賞した「ねじりパイプ」を製作した技術グループのメンバー。左から冨田繁行課長、山本潤さん、西尾真人さん

職業訓練法人アマダスクールが主催する「第31回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「単体品の部」に出展した㈱佐藤医科器械製作所「ねじりパイプ」が経済産業大臣賞を受賞した。同社は1907年(明治40年)に京都で創業され、現在は滋賀県野洲市でステンレスをメインとした精密機械部品の精密板金加工を手がけている。

佐藤進平社長は「常に技能・技術の向上をはかりながら、加工自由度や寸法精度の高さといった板金加工の特色を遺憾なく発揮してきたことが今回の受賞につながったと思います。当社では、ステンレス加工分野において『できない』とは言いません。社内で培った技術を試し、技術を磨くために、国家資格である工場板金技能士の資格取得にも挑戦。特級合格者3名をはじめ、1級・2級の合格者を多数輩出しているのは、社員全員がチャレンジしてきた成果です」と、受賞の喜びとともに同社のモノづくりに取り組む姿勢を語る。

画像:板金加工で「できない」とは言わない左:2次元CAD/CAM AP100で作成した展開図/右:3次元ソリッド板金CAD SheetWorksでモデリングされた「ねじりパイプ」のモデル

創業112年の歴史をもつ板金企業

佐藤医科器械製作所は、1907年(明治40年)に京都で創業。創業当時は真鍮・銅板を手加工していた。1950年頃より、医科器械においても錆びない金属としてステンレスが注目され、同社もステンレスの板金加工にシフト。シャーリングを導入し、溶接工程も社内に取り込み、医科器械関係のほか、ディスプレイ用の板金製品を受注していった。

1978年頃からは京都に本社を置く計量機器メーカーから仕事を受注するようになった。当時の設備や規模では対応が難しかったが果敢にチャレンジし、メーカーからも高い評価を受け、それを契機に受注量が増え、現在では売上の大半を占める得意先となった。

1982年には滋賀県野洲市に滋賀工場を建設し、パンチングマシンなどの設備を導入し、増加する計量機器メーカーの仕事に対応していった。1999年には品質マネジメントシステムISO9001を取得し、それまでの製造ノウハウを生産システムとして確立。2007年には環境問題にも配慮してISO14001を取得している。

工場内ネットワークシステムを構築した2008年には、板金フェアで銅賞を受賞。また、得意先の計量機器メーカーが毎年選定するベストサプライヤー賞の1位、2位を毎年のように受賞するようになった。野洲工場が完成した2013年には「京都府中小企業『知恵の経営』実践モデル企業」として認証を受け、2016年には京都高度技術研究所「オスカー認定」を受けた。

2017年には滋賀工場の横に工場と社員食堂を増設。すでに導入していた2台の複合マシン―LC-2512C1AJとEML-3510NTに製品用・素材用の2連の棚を備え、ジョイントレス加工した製品を機外へ搬出するテイクアウトローダー(TK)を後付けし、夜間・休日を含めた連続運転に対応できるようになった。また、2018年には経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定された。

  • 画像:板金加工で「できない」とは言わないファイバーレーザ複合マシンLC-2512C1AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTKで応募作品のブランク加工を行った
  • 画像:板金加工で「できない」とは言わない溶接して検査が終わった製品は、独自の専用台車に積み込まれ得意先の組立ラインに直送される

会社情報

会社名
株式会社 佐藤医科器械製作所
代表取締役
佐藤 進平
本社
京都府京都市中京区西洞院通御池上ル押西洞院町606
滋賀工場
滋賀県野洲市野洲1515-1
野洲工場
滋賀県野洲市野洲1333-1
電話
077-587-1081
設立
1962年(創業1907年)
従業員数
70名
主要製品
計量装置、検査装置、食品小売り分野の包装機、充填機、質量選別機、印字機、外観検査機、ステンレス板金加工部品など
URL
http://www.satoika.co.jp/

つづきは本誌2019年6月号でご購読下さい。

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