特集

“競争”から“協創”へ ― 日台連携を望む台湾板金業界

精密さを技術テーマとする板金加工メーカー

中国製造の製品に“品質”で勝負

高全存企業有限公司(KAO CHUAN TSWEN ENTERPRISE CO.,LTD.)

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画像:精密さを技術テーマとする板金加工メーカー①2台のEML-3610NTではカーテンウォールに使用するアルミ薄板の加工を行っている/②カーテンウォールの部材

新工場への移転

画像:精密さを技術テーマとする板金加工メーカー新工場にスタジオをつくり、手が空けばスティックを握ってドラムを叩き、気分転換を行う簡天保総経理

1997年に創業された高全存企業有限公司は、創業20周年を迎えた昨年末に、高雄市が造成した和発産業園区の敷地面積2,800坪の土地に新工場を建設、移転した。

工事は、第1期~第3期の3段階に分けられており、現在は第2期。第1期工事では4階構造の建物を建設。第2期工事では1階構造の社員食堂などの福利厚生施設や金属試験実験室を建設中。第3期工事では3階構造の検査・組立工場を計画している。これにともない、現在90名の従業員数も第3期工事が終了する頃には150名、5年後には200名まで増員することを見込んでいる。

また、2017年の年商は3億台湾元(9億円)、これを5年後には5億台湾元(15億円)に拡大する計画だ。

4年前に同社を訪れた頃、簡天保総経理は手狭になった工場の移転を計画していた。そして、2017年8月に工場建設に着工、2018年12月に第1期工事が完了して本社工場を移転した。以前の工場はプレス加工とパイプ加工の専用工場として今も稼働している。

画像:精密さを技術テーマとする板金加工メーカー左:6m対応のVカットマシンや6m対応のベンディングマシンなどが並ぶ/右:EMLで加工したアルミ薄板をHG-2204で曲げ加工する

板金工場として創業した当時の経営環境

簡総経理は1989年にプレス加工企業を共同で起業したが、1997年に独立、プレス加工と板金加工を行う高全存企業有限公司を創業した。

その背景について簡総経理は、「1997年当時は建設投資が多くはなく、とくに商業施設・マンションへの投資が下降気味でした。また、建築業界は石を材料とした伝統的な外壁が多く、サッシ市場が好調でした。2008年以降は台湾の建設投資が増大し、台北を中心とした都市部では商業施設やマンションが高層化、建設ラッシュが続き、建築板金市場が拡大していきました。その結果、サッシの仕事量が減少した反面、金属のカーテンウォールの仕事量が増加しました。しかし、業者間での受注競争も激しくなりました」。

「そこで、競争に勝ち残るための差別化戦略として、2008年にレーザマシンFO(4kW)を導入し、2012年にLC-3015F1NT(6kW)に入れ替えました。LC-3015F1NTの導入目的は、加工領域を拡大することで、増加傾向にあるステンレスとアルミを使ったパネルや装飾板金の仕事を取り込むことでした。高出力の6kW仕様を導入することでアルミは板厚10㎜まで、ステンレスは20㎜程度まで加工できるようになったため、他社との差別化につながり、競争力を備えることができました」という。

左:バリ取り・仕上げ作業は、発生する粉塵を天井で吸引する装置を備えたエリアで行う/右:第3期工事完了後の外観イメージ左:バリ取り・仕上げ作業は、発生する粉塵を天井で吸引する装置を備えたエリアで行う/右:第3期工事完了後の外観イメージ

会社情報

会社名
高全存企業有限公司
総経理
簡天保
住所
台湾・高雄市大寮區琉球里和業二路26號
電話
+886-7-788-0455
創業
1997年
従業員数
90名
主要事業
サッシ・カーテンウォールの生産
URL
http://www.kctco.com.tw/

つづきは本誌2019年5月号でご購読下さい。

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