業界動向
三松、「スタートアップファクトリー構築事業」の認定を受ける
ワークピッキング作業の自動化ロボットを製作 ― SSF構想の第一歩
左:搬出された製品をピッキングしてバッファーテーブルに整列積載する双腕型の協働ロボット/右:ピッキングロボットによって整列積載された製品
スタートアップの量産に向けた試作・設計の支援拠点
田名部徹朗社長
㈱三松(福岡県筑紫野市)は7月、スタートアップの量産に向けた試作・設計の支援拠点を構築する経済産業省事業「スタートアップファクトリー構築事業」の認定38団体のひとつとして採択された。
同社は半導体製造装置、食品・医療設備などで月間10万点にもおよぶ板金製品の加工から組立、制御や電気・組立などを顧客に代わって行う「製造代行サービス会社」として事業展開を行っている。
今期売上高は25億円で、そのうち板金製品などの加工による売上の割合は60%弱。そのほかには、医療・食品業界やFA機器メーカーへ向けてロボットなどを使った自動化装置の開発支援を行うエンジニアリング事業や、「金属王」という自社ブランドのステーショナリー・什器などを開発・製造・販売する自社製品事業などがあり、同社のモノづくり開発能力は多方面から高く評価されている。
パンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NTが加工した製品を専用のパーツリムーバーがピッキング、機外へ搬出するコンベヤーに運ぶ
ピッキングロボット(手前)。LC-C1NT(奥)で加工された製品をコンベヤー上から識別カメラの画像認識で種類ごとにピッキングして決められた場所に整列積載する
「三松スマートファクトリー(SSF)構想」
こうした経験に基づいて同社では、これまでに社内で導入てきたIoT技術を活用し、よりタイムリーに情報を相互伝達できる仕組みを再構築するとともに、社内の合理化・省人化を進める「三松スマートファクトリー(SSF)構想」を推進している。
また、SSF構想を具体化するプロセスで生み出された設備やシステムを、さまざまな機器・装置の試作・開発・量産化の支援に役立てていこうとしている。そうすることによって、強度設計・メカ設計・機構設計・筐体設計などのハード面で、技術的な知見があまりないスタートアップに対して支援ができると考えた。
とくに、人手に頼る作業が多いバイオ系や飲食業、農林水産業、各種加工業では人手不足が深刻な問題となっており、自動化や作業改善のニーズが高まっている。そうしたニーズを解決する機器や装置の開発・量産化を目指すスタートアップを支援できると考えている。
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