“競争”から“協創”へ ― 日台連携を望む台湾板金業界
グローバル化に対応できる設備力
ベンディングロボットシステムEG-AR導入
志鋼金属股份有限公司(CHIH KANG Material Company Ltd.)
①ベンディングロボットシステムEG-6013ARには6mの搬出コンベヤーが取り付けられている/②曲げ加工途中には、角度センサーで曲げ角度を計測して精度向上をはかる
4年で企業規模は1.2倍に拡大
EG-ARの前に立つ洪啓川董事長(右)と郭治華総経理(左)
志鋼金属股份有限公司は、1995年に台湾の台南市で設立されて以来、精密板金加工をベースに各種装置の部材と筐体製造、加工および塗装、組立までをワンストップで対応する。
3年前に3階建て、延べ床面積3,200坪の工場を増設した。旧工場を含めると敷地面積は6,000坪、従業員数は300名、年商は8億台湾元(24億円)あまりとなっている。4年前に訪問した際には新工場は建っておらず、従業員数250名だった。それがたった4年で企業規模は20%以上拡大した。
台湾で発展し続けるハイテク産業において、同社は得意先からのあらゆるニーズに対応できるよう、技術の向上と品質管理の徹底、生産性の改善に取り組んでいる。現在の得意先は30~40社で、売上構成でみると通信機器が30%、医療機器、半導体製造装置が15%。得意先は米国、日本、シンガポール、オーストラリア、イスラエルなど、世界中に広がっている。売上に占める国内外比は7対3、海外の比率が増す傾向にある。
さらにOEM/ODM受注が増えていて、新規品が20%、リピート品が80%となっている。材料は鉄系が50%、ステンレスが25%、ZAM(溶融亜鉛メッキ鋼板)が15%、アルミが10%。板厚は3.0㎜以下が大半を占める。ロットサイズは1~200台、平均すると20~30台となっている。
パンチ・レーザ複合マシンEML-3510NT
ブランク検査を行う非接触の画像検査装置
5Gや電動バイク用充電ステーションが増加
台湾では第5世代移動通信規格(5G)の導入で、国家通訊伝播委員会(NCC)は昨年、2019年末に事業免許発行と周波数帯割り当てを行い、2020年に商用化を目指す方針を表明している。NCCはサービス開始時期で主要国と足並みをそろえ、台湾での5Gエコシステム構築を進める計画と言われている。台湾は海外主要国に比べて5Gへの取り組みが遅く、大手キャリアも消極的と伝えられているが、通信機器メーカーは5Gへの対応を強化しており、発注量の増加が見込まれている。
また、台湾は2018年現在のバイクの登録台数が1,381万台で、1.7人に1人がバイクを所持している「バイク大国」だ。そのため、大気汚染の一因になっている。
そこで、台湾行政院は2017年12月に「大気汚染防止行動計画」を打ち出し、2035年までに新規で販売するバイクをすべて電動化する方針を掲げた。こうした指針に基づきバイク市場シェア4位のGogoroは2015年に電動バイク市場に参入、自社製電動スクーターと簡単にバッテリー交換ができるバッテリーステーションによってビジネス展開して業績を伸ばし、電動バイク市場シェアトップを誇っている。一方、中華汽車などは充電方式の電動バイクを販売、競争が激化している。
台湾経済部は予算22億台湾元を投じて、急速充電ステーションとバッテリー交換ステーションを整備し、2019年以降はこれら公共の充電インフラ対応の電動バイクのみに購入補助を支給する方針を打ち出した。このため、充電ステーションに設置する急速充電器の筐体製作が同社に発注され、生産台数は今後も増える見込みだ。
左:ベンディングマシンHG-8025NT(奥)とHDS-1303NT(手前)には追従装置が付いている/右:「台湾金属創意館」で製作された板金製のステーショナリーやグッズ
会社情報
- 会社名
- 志鋼金属股份有限公司
- 董事長
- 洪啓川
- 総経理
- 郭治華
- 住所
- 台湾・台南市永康区環工路53号
- 電話
- +886-6-203-6735
- 創業
- 1995年
- 従業員数
- 300名
- 主要業種
- 通信機器・医療機器・半導体製造装置・IPC・産業機械・食品機械・オフィス什器などの板金製品の一貫生産
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