少数精鋭企業が成長投資に本腰 ― 3年間でサーボプレス4台導入
「順送」による高生産性、「単発」による多工程・複雑形状に強み
川越プレス工業 株式会社
2024年11月に導入したサーボプレスSDE-3030iⅢ(300トン・順送ライン)。月産30万個の自動車ドア部品や、住宅ドア部品などの加工に活用している
少数精鋭体制で「品質」と「納期対応」に定評
三吉桂正常務(左)と弟の三吉晃平さん(右)
埼玉県川越市の川越プレス工業㈱は、1957年創業の金属プレス加工企業。従業員数6名と小規模ながら、300トンから35トンまで計15台(順送6台・単発9台)のプレス機を保有。長年培ってきた高い技術力と最新の加工設備を融合させ、自動車部品・二輪車部品・建築金物・産業機器部品・電磁ポンプ部品など多種多様な製品を手がけている。
同社は三吉忠社長の祖父が創業し、その子息にあたる三吉桂吉氏が中心となって事業を展開してきた。創業メンバー全員が未経験者だったが、高度経済成長の波に乗り、顧客にあたる1次サプライヤーの指導を受けながら加工技術を磨いた。
三吉忠社長が引き継いでからも、従業員数10名前後の少数精鋭体制を維持しながら、フットワークの良さと柔軟な対応力を武器に顧客の信頼を高めていった。中でも、「品質」と「納期対応」に対する顧客満足度は高く、ISO9001の認証を取得している顧客の1社からは、納入時の検査が不要な「無検査受け入れ工場」の認定を受けている。加工油メーカーや金型メーカーなどの推薦・紹介で新規案件が持ち込まれるケースも多い。
現在は「順送」と「単発」の2本柱だが、一時はトランスファーやタンデムラインによる大量生産、金型設計製作にも自社で対応していた。この時期に培った自動化のノウハウや金型技術は今も受け継がれており、金型メーカーとの協業による最適工法の考案・提案も得意としている。技術的には深絞り成形をはじめ、インコネルのような特殊材、ステンレス・板厚4.0㎜の精密せん断など、難加工の実績も多い。
左:2023年に導入したSDE-8018iⅢの高剛性ストレートフレーム仕様(中央)とC型フレーム仕様(手前)/右:単発プレス機に「PSDI制御機能付き光線式プレス安全装置」を3セット導入。起動機能を備えた安全装置で、両手ボタンを押す動作が不要になる
主力は自動車部品・建築金物・産業機器部品など
2次サプライヤーとして、主力の業種や顧客も時代の変遷に合わせ変化させてきた。創業当初は懐中電灯部品、スピーカー部品を手がけ、その後はカセットデッキ部品、電気メーター部品などへとシフト。現在は主力顧客4社から、自動車部品・二輪車部品・建築金物・産業機器部品・電磁ポンプ部品などを受注している。
売上構成では、自動車ドア部品の顧客が約30%、自動車部品・二輪車部品・建築金物などの顧客が20~30%、産業機器部品の顧客が約20%、電磁ポンプ部品などの顧客が約10%となっている。
三吉社長は「お客さまとの出会いは、当社の仕事を評価してくださる方々を通じてご縁をいただけたというのが正直なところです。何か戦略があったわけでも、特別なことをしてきたわけでもありません。お客さまからいただく図面や仕様書に従い、忠実にものづくりをしてきたつもりです。製品の品質に直結する勘所には特別注意して、決して手を抜くことがないように心がけてきました」と振り返る。
同社が加工してきた製品サンプル。同社は深絞り成形をはじめ、インコネルのような特殊材や精密せん断など、難加工の実績も多い
SDE-8018iⅢ(高剛性ストレートフレーム仕様)によるシェービング加工の断面サンプル(スケルトンをワイヤカットで切断したもの)
会社情報
- 会社名
- 川越プレス工業 株式会社
- 代表取締役
- 三吉 忠
- 所在地
- 埼玉県川越市小堤630-1
- 電話
- 049-231-1025
- 設立
- 1957年
- 従業員数
- 6名
- 主要事業
- 自動車部品・建築金物・産業機器部品・電磁ポンプ部品などの金属プレス加工
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