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「2022国際ウエルディングショー」開催

進化を続ける溶接自動化ソリューション

ファイバーレーザ溶接、協働ロボットの普及が進む

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画像:進化を続ける溶接自動化ソリューションアマダは、ファイバーレーザ溶接システム「FLW-6000ENSIS」(左)とハンディファイバーレーザ溶接機「FLW-1500MT」(右)を出展した

東京でのリアル開催は4年ぶり

世界の3大ウエルディングショーのひとつ「2022国際ウエルディングショー」が7月13日から16日までの4日間、東京ビッグサイトの4~7ホールで開催された。主催は日本溶接協会と産報出版。東京でのリアル開催は4年ぶりで、出展者は280社を超え、会期中の来場者数は延べ10万413人となった。そのうち633人が海外からの来場者だった。

今回のテーマは「日本から世界へ:溶接・接合、切断のDX革命~製造プロセスイノベーションの到来~」。出展者各社は、産業界全体の課題となっている人手不足やカーボンニュートラルなどに対応する最新技術・新製品を出展した。

人手不足・職人不足へ向けた提案が目立つ

今回は人手不足、溶接職人不足への対応として、自動化・ロボット化の提案が目立った。産業用ロボット・協働ロボットを採用した自動溶接ソリューションが数多く出展され、中でもファナックの協働ロボットCRX-10iAを採用したシステムが多く見られた。

これまで自動化・ロボット化の障壁となっていたティーチングについては、センサーやスキャナー、AIなどを用いて自動化・高度化を実現するソリューションが目立った。インプロセスで溶接品質の良否判定を自動で行うソリューションも見られた。

ファイバーレーザ溶接を提案 ― 「職人不足」「要求品質向上」などに対応

アマダは、「職人不足」「要求品質の向上」「材料費の高騰」の3つの課題を挙げ、その解決方法としてファイバーレーザ溶接システム「FLW-6000ENSIS」とハンディファイバーレーザ溶接機「FLW-1500MT」を提案した。

「職人不足」に対しては、溶接用CAM VPSS 3i WELDによるオフラインティーチングや、TAS(ティーチング支援システム)によるNC画面上での補正作業によって、スキルレスでも安定加工ができるとした。

「要求品質の向上」に対しては、ビーム形状を変更できる「ENSISテクノロジー」(FLW-ENSIS)や、レーザビームを回転させる「ビームウイービング機構」(同)、レーザビームを左右に振る「ウォブリング機能」(FLW-1500MT)などのビーム制御技術によって、作業者を選ばない高度な溶接ができると提案した。

「材料費の高騰」に対しては、これまでは溶接による熱影響や溶接工数をおさえるために分割パーツ数を少なくするのが一般的だったが、高品質な溶接ができるファイバーレーザ溶接を前提に分割方法や展開形状を変更することで、材料歩留りを向上できるとした。

また、アマダウエルドテックとアマダAIイノベーション研究所(AIIL)の共同研究の成果として、溶接AIシステム「WELDXAI(ウェルデックスアイ)」を出展した。溶接条件(レーザ出力など)・材質・板厚の情報をAIシステムに入力すると「せん断強度」「推定溶け込み深さ」を推定することが可能で、従来は破壊検査を行わないと得られなかった溶接強度情報を取得できる。

  • 画像:進化を続ける溶接自動化ソリューションアマダウエルドテックは、「せん断強度」「推定溶け込み深さ」を推定する溶接AIシステム「WELDXAI」を出展した
  • 画像:進化を続ける溶接自動化ソリューション安川電機は、AIと人協働ロボットで熟練工の溶接技術を実現するアーク溶接ソリューションを提案した

進化する溶接自動化ソリューション

安川電機は、人協働ロボットによるアーク溶接ソリューションを出展した。移動式台車にロボットを搭載することで設置が容易になり、柔軟性や拡張性を持った自動化ができる。溶接技能者資格を持った熟練工による溶接の試験片とアーク溶接池の画像から、AIが熟練工の感性をデジタル化。AIが溶接状況を把握しながら、熟練工の溶接技術を人協働ロボットで実現できると提案した。

ファナックは、台車に載せた協働ロボットCRX-10iAとレーザセンサーを用いて、アーク溶接の自動経路生成を実演した。ダイレクトティーチング(ロボットを直接動かして動作を教示する)で始点・中継点・終点を指定すると、レーザセンサーにより溶接位置をモニタリングし、追従補正して溶接経路を生成する。ワークを交換した後に経路を再生成する必要はない。

リンクウィズは、ティーチングデータ自動生成・補正機能付きロボットコントロールシステム「L-ROBOT」と、インライン向け3Dロボット検査システム「L-QUALIFY」を出展。3Dスキャナーと多関節ロボット(産業用・協働)を組み合わせ、ワーク形状を解析して溶接パスを自動生成するソリューション、ワークのギャップ量を認識してそれに応じた溶接パスを自動生成するソリューション、独自の点描解析によりレーザ溶接の高速・全数検査を自動化するソリューションなどをPRした。

iCOM技研は、2ステーション構成で生産と段取り作業を同時に行い、協働ロボット1台で「溶接+ビード除去」「溶接+ハンドリング」などの複合加工が可能なシステムを出展した。独自のダイレクトティーチング機能、パスレコーディング機能によりティーチング作業の所要時間が1/10に短縮できるとした。

  • 画像:進化を続ける溶接自動化ソリューションファナックは、協働ロボットCRX-10iAとレーザセンサーを用いたアーク溶接の自動経路生成を実演した
  • 画像:進化を続ける溶接自動化ソリューションリンクウィズは、協働ロボット向けティーチングデータ自動生成システムなどを出展した

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