第34回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介
「どうしたら自分の技術力でSDGsに貢献できるか」を考え、チャレンジ
「サボニウス形風車」で3回目の「経済産業大臣賞」を受賞
株式会社 田名部製作所
①「経済産業大臣賞」を受賞した「サボニウス形風車」(SUS304・板厚0.8㎜・1.5㎜・3.0㎜、W260×D260×H570㎜)/②風車下部のユニット内部には回転軸がブレないようにラジアルベアリング、スラストベアリングが組み込まれている。羽根は下部に進むほどねじれを強く加工している
「厚生労働大臣賞」「経済産業大臣賞」をそれぞれ3回受賞
左から、田名部淳社長、富﨑真二係長、田名部秀世会長
「第34回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「組立品の部」に出品した㈱田名部製作所の「サボニウス形風車」が「最高度な加工技術・手段の開拓など、その成果が板金業界に広く貢献すると思われる作品」に授与される「経済産業大臣賞」を受賞した。同社が経済産業大臣賞を受賞するのは今回で3回目となる。
この作品を製作した製造部の富﨑真二係長は「世界でSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが進む中、何か世の中の役に立つものがつくれたらと思い、製作しました。サボニウス形にツイストが加わった形状をどうにかして板金加工で実現できないか、という自分自身へのチャレンジでもありました。上下プレートに羽根がきれいに沿うよう展開、下部に進むほどねじれを強く加工し、回転時に軸がブレないよう3枚の羽根を均一に合わせこむ作業は、とても苦労しました。また、滑らかな回転を実現させるために2種類のベアリングを組み合わせ、軸にかかる荷重を軽減しました」と語っている。
「顧客感動の創造と地域社会への貢献」
同社は田名部秀世会長が社長をしていた2003年から「技術の向上には他流試合が有効」と考え、社員教育の一環として板金フェアにチャレンジしてきた。これまで「厚生労働大臣賞」3回、「経済産業大臣賞」2回をはじめ、数々の賞を受賞してきた輝かしい実績を持つ。同社のホームページの「TANABEの人々」のコーナーでは、板金フェアで大臣賞やその他の上位賞を受賞した作品を製作した社員のプロフィールや、製作過程の苦労、受賞の喜びなどが紹介されている。
また、社員20名という規模ながら、工場板金技能士(機械板金作業)の1級が3名、2級が4名。工場板金技能士(数値制御タレットパンチプレス板金作業)の1級が6名、2級が1名。板金図面検定の1級が5名、2級が4名。ステンレス鋼溶接技術検定(JIS Z 3821)の基本級(TN-F)が2名、専門級(TN-P)が1名在籍している。複数の資格を有する社員もおり、高度なスキルを備えたテクニシャンの集団となっている。
田名部淳社長は「当社が目指しているのは『顧客感動の創造と地域社会への貢献』です。この想いを胸に私たちはまずお客さまの気持ちになり、お客さまのお役に立つにはどうしたら良いかを一生懸命に考えます。お客さまの感動を創造するために自分自身を磨き、みずからを成長させる努力をひたむきに続けています。そうすればお客さまの喜びが私たちの喜びとなり、新たな感動が生まれる ― そう信じてまい進しています。こうした想いを持った社員一人ひとりの技術が、さまざまな板金製品を精密に高品質で製作するという挑戦につながっています。そういった意味でも板金フェアは社員の腕試しをする絶好の機会となっています」と語っている。
ファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTK
溶接作業を行う富﨑係長
会社情報
- 会社名
- 株式会社 田名部製作所
- 代表取締役会長
- 田名部 秀世
- 代表取締役社長
- 田名部 淳
- 所在地
- 福岡県筑後市大字野町327-1
- 電話
- 0942-51-7277
- 設立
- 1975年
- 従業員数
- 20名
- 主要製品
- 空調機器部品、キャビネット、農機具部品、乾燥機部品、海苔養殖機械部品、プラント部品、その他板金部品
つづきは本誌2022年5月号でご購読下さい。