技能検定制度を生かしたエキスパート人材育成の取り組み
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資格取得を応援する環境づくり
株式会社 興和工業所
金属加工の総合エンジニアリング企業
㈱興和工業所は溶融亜鉛めっきを中心とする各種表面処理から機械加工、板金加工、溶接、塗装、焼き入れまでの金属加工を手がける総合エンジニアリング企業である。
1947年に創業後は、表面処理・金属加工の技術を駆使して顧客のニーズに対応してきた。2021年3月期の売上高は252億円にのぼっている。
表面処理や金属加工を行う工場・事業部は愛知県内に11カ所、三重県に1カ所あり、このほかに板金加工を主業務とする小牧工場と、塗装事業を担う犬山工場がある。さらに2020年には春日井分工場が開業し、組立を行うようになった。
板金加工事業の売上構成比は1ケタと大きくないが、総合エンジニアリング企業としてワンストップで対応するためには欠かせない部門である。同社は一貫生産体制を強化することでさらなる事業拡大を目指している。
板金~塗装~組立の一括受注・一貫生産
板金工場(小牧工場)と塗装工場(犬山工場)、組立工場(春日井分工場)が連携することで、板金~塗装~組立の一括受注・一貫生産が可能となり、幅広い顧客ニーズに対応。広い工場スペースを有効活用することで横持ち作業や搬送ロスを大幅に削減し、精密メカ部品から大型の筐体まで対応している。
ブランク工程にはプレスマシン3台と複合マシン2台を導入、多様なニーズに迅速かつフレキシブルに対応できる。塗装工場、組立工場との一体運営により、「一括管理品の受注」ができることが小牧工場の大きな特徴である。
さらに、ISO9001(品質マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム)の認証も取得し、顧客満足度向上と環境保全に取り組んでいる。
コロナ禍の影響を脱して繁忙期をむかえる
小牧工場の主要製品は自動改札機、通信機器、アミューズメントマシンなどの筐体、工作機械カバーなどで設計からワンストップで対応している。
得意先は約40社。2020年はコロナ禍の影響で仕事量が20%ほど落ち込んだが、12月以降は回復した。中でもアミューズメントマシンは同社受注分がモデルチェンジとなり、今年7月頃から急速に回復して、1日あたり数十台の出荷を目標に来年2月頃までは忙しさが続く。さらに海外向けの工作機械、厨房機器にも回復の兆しが見え始めており、全体的に繁忙感が出始めている。
同社が得意とするのは中種中量生産だが、ロット3ケタの仕事も流れている。小さいロットでも20~30個ある。製品一式で受注するので開発設計を中心に工法転換の設計提案を行い、プレス加工やアルミダイカスト品を板金加工に置き換える提案営業を積極的に行っている。
全体最適を考えられる多能工が必要
ブランク工程ではプレスマシン3台と複合マシン2台が24時間稼働している。複合マシンはミクロジョイント加工を行い、加工後にバラシ作業を行って機種単位でパレットに積載、次工程へ送り出すキット生産を行っている。今年度中にはプレスマシン1台をファイバーレーザ複合マシンEML Z-2512AJに更新する計画だ。
曲げ工程は繁忙で、2交代勤務を再開して対応。生産は工程単位で分業化しているが、定期的にローテーションを行い、多能工の育成も視野に入れている。
リピート率が高く、中種中量生産品が多いこともあって、工程を分割、生産を分業で行うライン生産を採用している。分業に対応して専任の作業者を育成するという考えもあるが、みずからが担当する工程の部分最適化もさることながら、一貫生産に対応し、工程全体のものづくりに対応できる知識を備えた「全体最適を考えることができる多能工」が必要であるという認識を持っている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 興和工業所
- 代表取締役
- 六車 壽夫
- 本社
- 愛知県名古屋市瑞穂区二野町2-28
- 小牧工場
- 愛知県小牧市大字東田中字下五反田1081
- 電話
- 0568-77-3277(小牧工場)
- 設立
- 1948年(1947年創業)
- 従業員数
- 1,049名(小牧工場・板金部門は74名)
- 主要事業
- 溶融亜鉛めっきを中心とする表面処理、機械加工、板金加工、溶接、塗装、焼き入れなど
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