平板からパイプ・形鋼までオールマイティーに対応
ファイバーレーザマシンENSIS-RIでリードタイムを1/3に短縮
建洲テクノス 株式会社
平板からパイプ・形鋼までオールマイティーに対応するファイバーレーザマシン
ENSIS-3015RI+LSTRI-3015E
祖父が呼び寄せ、22年前に来日
岡健一郎社長
2014年に32歳という若さで建洲テクノス㈱を創業した岡健一郎社長は、中国残留孤児を祖父に持ち、1997年、両親とともに祖父に呼び寄せられ、来日した残留孤児3世だ。
岡社長は「私は15歳まで黒竜江省・ハルビンで過ごし、来日。日本語を学ぶため、中学校の2学年に編入しました。中学校時代は日本語の勉強と一般の授業で大変でした。また、自分のアイデンティティーが曖昧な状態で、日本の生活に慣れ、周りの環境に順応するために苦労しました。中学校を卒業した後は藤井寺工業高等学校へ入学しましたが、目標が定まらず1年で退学。その後はアルバイトをしてお金ができると遊びまわるような生活をしていました」。
「22歳を過ぎた頃から、『このままではいけない』と反省し、『技能を身につけ自立しなければいけない』と考えるようになりました。溶接の仕事を覚え、造船所や鉄工所などで溶接技術を勉強しました」。
「結婚し、家族ができてからは、自分の城(会社)を持つことを考えるようになりました。開業資金が乏しかったため、親族をまわって借金をお願いしましたが、親族の多くは開業に反対でした。それでもあきらめられず、私と妻それぞれの親から借金をして、2014年4月30日に建洲テクノス㈱を設立しました」。
「当初は知り合いを頼って仕事をもらい、最初は私ひとりで、その後は妻と社員1人の計3人で仕事をまわしていきました。やがて社員が増え、事業も軌道に乗りました」と自身の出自と開業までの経緯を語る。
パイプインデックス装置用CAD/CAM Dr.ABE_Tubeを使ってENSIS-RI用の加工データを作成する
ENSIS-RIによる角パイプの加工
「困ったときの建洲頼み」
やがて消防自動車や工作車のメーカーからの仕事が1社を介して受注できるようになり、次第に安定していった。事業が繁忙になり、当時の貸工場では手狭になってきたため、2016年に八尾市内の200坪の貸工場へ移転・拡大した。
それまでの設備は大半が量産できないマシンだったが、パンチングマシンARIES-245、ベンディングマシンRG、コーナーシャーなど一通りのアマダの加工設備を導入していた。工場移転の1年前、年商が6,000万円だった時には、年商に匹敵する金額のレーザマシンも導入している。
そんな頃、それまで消防自動車や工作車などの仕事をまわしてくれていた会社が廃業することになった。しかし、これまでの仕事ぶりが評価され、発注元のメーカーから直接取引をしたいという意向が伝えられた。「チャンス到来」と考えた岡社長は一念発起した。
「私の経営理念は、『いただく仕事は選びません。必ず納期遵守します』で、完徹してでもこれを守ってきました。メーカーはそんな姿勢を高く評価してくださっていました。もともと消防自動車・工作車は発注する消防署によって仕様が変わります。加工が終わると、艤装品仮組みで消防自動車・工作車を組み立て、日本消防検定協会の検査・承認を受けなければいけません。検査日までに納品できなかったら大変です」。
「また、仮組み段階の検査で不具合が見つかれば急いで設計・加工のやり直しが発生します。この仕事は待ったなしで、急いで対応しないと検査に合格できません。そのため今日受注、即納品という超特急の仕事が頻発します。こうした仕事にも社内対応でお客さまの要望にお応えしてきました。通常流れている仕事も遅延は出しません。そんな対応をずっとしてきたので、お客さまの調達部門や設計部門では『困ったときの建洲頼み』と評判になり、特急の仕事が当社に発注される割合が高まってきました」。
ベンディングマシンHG-1703による曲げ加工
ENSIS-RIの前に並ぶ建洲テクノスの社員一同
会社情報
- 会社名
- 建洲テクノス 株式会社
- 代表取締役
- 岡 健一郎
- 住所
- 大阪府八尾市南木の本5-1
- 電話
- 072-991-8846
- 設立
- 1914年
- 従業員数
- 16名
- 主要事業
- 消防自動車・工作車の部品、食品機械などの各種板金部品の設計・加工
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