プレスマシンのIoTと金型管理
加工データの管理・活用・共有を目指す
株式会社 アマダマシンツール プレス技術部 福谷隆信
プレスマシンの見える化、IoTに対応する
アマダマシンツールのサーボプレスは2002年に販売を開始してから、すでに16年が経過しようとしています。サーボプレスの販売開始と同時に、マシンの稼働や生産の履歴を収集するために「稼働管理ソフト」というプレスマシン専用のパソコン用ソフトウエアを開発し、2007年にリリースしました。
サーボプレスは数値設定によりモーターを自在にコントロールすることで多彩なスライド動作が可能になります。量産では生産性や金型寿命、加工精度の向上、また試作開発分野では工程集約や工法転換などといった多くの可能性を持っています。しかしながらその数値設定は、従来のクランクプレスにはないデジタルな部分が多く、そのノウハウに相当するデータをいかに管理・活用・共有するかという課題も発生しました。
サーボプレスには発売当初よりEthernet(イーサネット)コネクタを装備していたため、そのままネットワークへの接続が可能でした。マシンの持っている運転情報(稼働や生産)やモーション設定、荷重波形データをそのままネットワーク接続したパソコンで収集することが可能で、プレスマシンの見える化、IoTにも早い時期から対応していました。
先駆けとなった「稼働管理ソフト」
その先駆けとなった「稼働管理ソフト」は、名前のとおりプレスマシンの稼働や生産データを収集・管理する機能を有していました。また、モーション設定データや荷重波形データ、保守情報、停止理由など多くのデータも収集することができました。
しかし、導入後のお客さまの状況を見ると、稼働や生産結果だけを必要としていたり、荷重波形を収集し加工の分析や金型の開発にだけ使っていたり、重要なマシンデータのバックアップ用途に使っていたりと、ソフトウエア機能の一部のみを活用している状況も散見されました。
そうした背景から「個々の機能に特化した、より機能豊富なソフトウエアが必要なのではないか」という判断から、その後は用途ごとの専用ソフトウエアを順次開発、リリースするようになりました。
具体的には、2011年にモーション作成ソフト「SMAPS」、2013年に荷重波形解析ソフト「WANMS」、2015年にプレスマシンの見える化ソフト「APINES」、そして2018年に金型管理システム「MORMS」をリリースするに至っています(図1)。
このうち、モーション作成ソフト「SMAPS」はサーボプレス専用ですが、それ以外は汎用クランクプレスTP-FXシリーズにも対応しています。
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