本格普及期を迎えたファイバーレーザ溶接の活用事例
ファイバーレーザ溶接で薄板・長尺・R形状に対応
高付加価値な屋根用建材、建築外装パネルの製造・施工で発展
株式会社 河内金属
①ファイバーレーザ溶接システムFLW-4000のティーチング作業。ワークは産業用の筐体/②③カラー鋼板のファイバーレーザ溶接を行ったサンプル。溶接箇所(上)を補修液で軽くタッチアップ(下)するだけで人目に触れる建築外装として十分に通用する
板金加工部門と工事部門―建築分野で発展
代表取締役の島埜(しまの)二郎氏(左)と専務取締役の島埜重信氏(右)
㈱河内金属は1989年、島埜(しまの)逵夫氏によって茨城県河内町で創業。長男の島埜重信専務とともに、ベンディングマシンを使って、屋根用長尺建材(役物)の製作を始めた。
その後、1993年に次男の島埜二郎社長が入社。大手建材メーカーの工事店で勤務していた経験を持つ島埜社長は「工事部門」を立ち上げ、ゼネコンなどから建築外装パネルの製造から施工までを一括で受注するようになった。
業績は順調に伸び、工場が手狭になったことから、1998年に現在地の千葉県印旛郡へ移転。広い工業団地に移転できたことで生産能力が高まり、仕事量も増えていった。
島埜二郎社長は次男ということもあり、事業を継承する考えは一切なかったというが、「営業としてずっと外を歩いてきた弟の方が社長には適任」という兄の島埜専務の勧めを受けるかたちで、2008年に2代目社長に就任。それ以来、島埜社長が会社経営と「工事部門」を、島埜専務が「板金加工部門」を切り盛りし、二人三脚で事業を発展させてきた。
現在の主な得意先は、屋根建設会社やゼネコン、鋼板メーカーなど。「板金加工部門」が手がける主力の屋根用建材(水切・軒先・ケラバなど)は加工のみを行い、得意先である屋根建設会社が施工を行う。一方、「工事部門」が手がける幕板・外壁・丸柱などの建築外装パネルは、社内で製作から施工まで一括で対応する。売上高に占める比率は、板金加工部門が75%、工事部門が25%となっている。
4台のベンディングマシンが並ぶ曲げ工程。3m仕様が1台、4m仕様が3台
HDS-2204NTによる長尺建材の曲げ加工
高付加価値な多品種少量生産が中心
島埜社長は「現在、当社が手がける屋根用・外壁用建材や建築外装パネルの仕事は、大型建築物向けの高付加価値な多品種少量品が中心となっています。例えば、学校の体育館や空港の格納庫といったインフラ関係で用いられる屋根用・外壁用建材。それに、ロジスティクス大型倉庫、工場など、ショッピングモールやホームセンターなどの大型商業施設の建築外装パネルです」と語っている。
屋根用・外壁用建材や建築外装パネルは厳しい自然環境にさらされるため、高い耐食性・耐候性が求められる。そのため材料としては、ガルバリウム鋼板や高耐食溶融めっき鋼板(ZAMなど)、溶融亜鉛めっき鋼板(SGCC)といった表面処理鋼板や、カラー鋼板(塗覆装鋼板)、ステンレス鋼板が用いられる。
同社が取り扱う材料は、70%強が表面処理鋼板で、SECC、SGCC、ZAM、ガルバリウム鋼板のほか、カラー鋼板も多い。そのほかは、塗装・めっきを前提としたボンデ鋼板やSPHCが10%強、ステンレスが10%程度、アルミが数%。大型建築物は原則としてすべて物件対応のため、リピート品は住宅向けや屋上緑化向けといった一部のみで、リピート率は10%以下となっている。
同社が幕板・軒天アルミパネルの加工と施工を手がけた東京医科歯科大学のキャノピー
会社情報
- 会社名
- 株式会社 河内金属
- 代表取締役
- 島埜 二郎
- 専務取締役
- 島埜 重信
- 住所
- 千葉県印旛郡栄町矢口神明2-3-1
- 電話
- 0476-95-6926
- 設立
- 1989年
- 従業員数
- 26名
- 事業内容
- 工場・倉庫などの屋根・外壁・長尺役物・各種金物、高速道路用防音壁外装板・笠木の製作/ステンレス、アルミ、スチールパネルの製作/屋根・外壁・板金工事、各種金属パネル取付工事、金物取付工事
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