特集

鋼材加工業で導入が進む大板対応のファイバーレーザマシン

ENSIS-6225AJで8´×20´サイズの大板材をワンパスで加工

40名の高度外国人材が3次元CAD「Tekla」を活用、BIMへの対応力も強化

近藤鋼材 株式会社 / 近藤総業 株式会社

LINEで送る
Pocket

画像:ENSIS-6225AJで8´×20´サイズの大板材をワンパスで加工2021年12月に導入したファイバーレーザマシンENSIS-6225AJ(9kW)+AS-6225+セカンドステーション。全長は20mを超える

3次元CADからワンストップで鉄骨図面を作成

画像:ENSIS-6225AJで8´×20´サイズの大板材をワンパスで加工近藤優衣取締役(左)と近藤千秋社長(右)

近藤鋼材グループ近藤千秋社長は、建設業界で材料・部材の仕様・性能などの属性情報を付与したBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソリューションの導入が進む中、BIMモデルから平面図や立面図、パースや構造計算、仕上げ表や見積書までつくれるようになれば、鉄骨ファブ業界が大きく変わると考えた。グループで展開する鉄骨製作事業の技術力・生産性を大幅に向上するため、BIMモデルを活用できる人材を育成しているマレーシア、ミャンマーの工科系大学の卒業生を集め、BIMの3次元モデルから鉄骨図面作成を行う開発拠点を開設した。

沼津本社にもマレーシア、ミャンマーからの高度人材を受け入れて、BIMに対応できる鉄骨図面を作成する設計部門を開設。構造設計や建設現場向けのソリューションとして世界的に評価されているTrimble社の3次元CAD「Tekla」を100ライセンス導入し、3次元CADによるモデリングから設計図・工作用図面の作成まで一気通貫で行う。

グループ企業の梁加工専用工場が7月に竣工

グループ企業でHグレードの鉄骨ファブ、渡邊鉄工所(静岡県藤枝市、藤田芳髙社長)が総事業費25億円を投資し、同県榛原郡吉田町に建設を進めていた梁加工専用工場が今年7月に竣工する。新工場にはBIMに対応した欧州・ZEMAN社の全自動梁組立ロボットシステムを導入し、H形鋼などのコラム梁の組立・溶接を自動で行える。

このシステムは、プレートの自動識別機能を持つ設備と組立および溶接を行う設備で構成され、BIMから展開された3次元データに基づき組立用プレートの識別から自動組立、溶接ロボットによる自動溶接を実現する。外部からの受注も含め、月間2,000トン程度の梁加工を目指している。

野菜工場運営会社をグループ化

2019年には完全人工光型野菜工場を運営するミツイシ(静岡県三島市)をM&Aで取得。社名をELFIE GREEN㈱に変更し、三島市平田に新たな野菜工場を建設し、2021年10月から本格稼働している。

工場屋根の自家消費型太陽光発電システムで使用電力量の1/3をまかない、発光ダイオード(LED)による完全人工光で3種類のリーフレタスを水耕栽培。1日の生産量は1万1,000株を見込み、静岡県内のスーパーマーケットだけでなく首都圏へも販路を拡大する計画だ。主力の鉄鋼事業とともに異業種の新事業を手がけることで、近藤鋼材グループとしてSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指す。

ELFIE GREENの社長には、近藤社長の長女で2021年3月に大学を卒業したばかりの近藤優衣さんが就任。近藤鋼材の取締役も兼務する。事業承継への道筋を内外に示し、前にも増して積極的な経営を進めている。

  • 画像:ENSIS-6225AJで8´×20´サイズの大板材をワンパスで加工ENSIS-6225AJで切断中のSS400・板厚22㎜
  • 画像:ENSIS-6225AJで8´×20´サイズの大板材をワンパスで加工セカンドステーションに搭載されたインクジェットプリンター(IJP)

毎月の鋼材販売量は5,000トン超え

本業の鉄鋼事業では3次元CADを使い、BIMを活用して建設模型を作成。原設計図から鉄骨工作用図面の作成、Hグレード・Mグレードの鉄骨製作、プレート加工、溶接組立までの製作を一貫して行うことで、得意先から信頼を得ている。得意先の数は1,000社以上で、毎月の鋼材販売量は5,000トンを超える。

「5月末にミャンマーから数名の高度人材が入国し、本社で働き始めました。日本ではBIMに関する技術はあるものの、担当する人材が不足しています。一方、ミャンマーの工科系大学ではBIMの導入に向けて積極的に人材を育成しています。そうした人材を受け入れて、BIMへの対応力を強化したい」と、近藤社長は意気込みを語っている。

画像:ENSIS-6225AJで8´×20´サイズの大板材をワンパスで加工左:近藤総業の本社ではマレーシア、ミャンマーなどの工科系大学を卒業した高度人材約40名が3次元CAD「Tekla」を使って構造設計を行っている/右:今年6月、沼津シャーリング長岡工場(静岡県伊豆の国市)に導入されたファイバーレーザマシンLC-VALSTER-6225AJ+LPT-D

会社情報

会社名
近藤鋼材 株式会社/近藤総業 株式会社
代表取締役社長
近藤 千秋
所在地
静岡県沼津市沼北町2-2-16
静岡県静岡市駿河区丸子6280-1(静岡営業所)
電話
055-925-1900(近藤総業本社)
054-256-1200(静岡営業所)
設立
1953年(1933年創業)
従業員数
108名(グループ全体330名)
年商
177億円(2021年11月期)
主要事業
一般鋼材の販売・加工販売、土木建築用鋼材関連、各種めっき、ファブデッキの製造・販売、システム建築構造体の設計・製作・施工(3次元CADによるモデリング作成)
URL
https://kondo-kouzai.com/

つづきは本誌2022年7月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから