Interview

東京ギフト・ショーで自社商品がグランプリを受賞

クラウドファンディングで目標金額の20倍を達成

有限会社 早野研工 代表取締役 早野 文仁 氏

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画像:東京ギフト・ショーで自社商品がグランプリを受賞早野文仁氏

建設機械や鉄道車両などの板金部品の加工を行う㈲早野研工は、アウトドアブランド「Hot Camp」を立ち上げ、第一弾として自社商品の焚き火台「FireBase(ファイアベース)」を発表。2月3~5日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「第91回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2021」(以下、ギフトショー)で、すべての出展商品の中から最高賞にあたる「グランプリ」を受賞した。

「Fire Base」は2020年12月24日から2021年2月15日までの53日間、クラウドファンディングサイト「Makuake」で応援購入を募り、目標金額30万円に対して、567名のサポーターから604万2,190円が集まった

「Fire Base」は入社1年目の新入社員が開発・製作を担当、板金加工や金属の知識がまったくない状態から商品化を実現し、初挑戦で最高峰の栄誉を勝ち取った。また、クラウドファンディングの活用や、商品の紹介動画の制作など、プロモーション活動は女性スタッフが担当した。TwitterやFacebook、LINEの公式アカウントを活用し、さまざまな情報を発信するなど、SNSを活用することで成果を挙げた。

コロナ禍の影響で巣ごもりが常態化する中、アウトドアへの関心が高まり、キャンプ用品の売上が好調になるなど、消費行動にも変化がみられる。そうした中で、これまで堅実なB to Bビジネスを展開してきた同社の若い社員がB to C市場に新規参入し、華々しい立ち上げに成功した。

若手社員のモチベーションアップ、B to Bビジネスモデルからの脱却 ― 製造業界の多くの企業が抱える課題に果敢に挑戦する早野文仁社長に、これまでの取り組みと今後の展望について話を聞いた。

瞬間、「震えた」

― ギフトショーでのグランプリ受賞おめでとうございます。まずは受賞のご感想をお聞かせください。

早野文仁社長(以下、姓のみ) 受賞の発表を聞いた時には、あまりのことにスタッフ一同、震えました。若い社員を中心としたスタッフのがんばりを評価していただけた喜びとともに、日ごろから応援してくださっているお客さまへの感謝の気持ちで胸がいっぱいです。

当初は、コロナ禍の影響でギフトショーの開催そのものが危ぶまれ、なかばあきらめていました。開催が決まってからは、商品開発にもプロモーション活動にも熱が入りました。

クラウドファンディングでは多くのサポーターの方々から応援をいただき、目標金額30万円の20倍以上、600万円以上が集まりました。初チャレンジで、これだけの応援をいただけたことには、素直に驚きました。ギフトショーでのグランプリ受賞は、最後の追い上げにつながりました。もちろんそれだけではなく、Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNSや専用WebサイトによるPR活動など、スタッフの努力が報われました。

― グランプリはどのように選定されたのですか。

早野 来場したバイヤーの方々の投票後、有識者により独創性、機能性、アイデア性、品質の高さ、安全性などの点をきびしく審査して決定したと聞きました。B to Cビジネスに長けたバイヤーの方々のきびしい選択眼で選ばれたというのがうれしいです。受賞後は、そうしたバイヤーの方々から商品の取り扱いに関する問い合わせをいただいています。

  • 自社商品の焚き火台「Fire Base」。「第91回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2021」でグランプリを受賞した自社商品の焚き火台「Fire Base」。「第91回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2021」でグランプリを受賞した
  • 画像:東京ギフト・ショーで自社商品がグランプリを受賞「Fire Base」の五徳は高さがちがう3つのサイズを用意している

「待ち工場」から「価値工場」へ

― 自社商品開発の経緯を教えてください。

早野 創業25周年をむかえた2013年、外部の方々に当社の設備・技術に着目してもらうためにWebサイトのコンテンツを工夫し、SEO対策にも取り組みました。SNSの活用を始め、ブログも開設。2017年には3次元レーザ加工からパンチ・レーザ複合加工まで、レーザ加工のさまざまなニーズに対応する専用サイト「レーザー加工.com」を立ち上げました。これらは若い社員たちの発想と行動力で実現しました。

リーマンショックをきっかけに「仕事を待っている“待ち工場”ではダメだ」との思いから、「待ち工場から価値工場へ」「ものづくりの魅力を発信する」をコンセプトに掲げ、B to C向けの商品開発に挑戦し始めました。

社員のアイデアで生まれた、スチールに24金めっきを施した金属製の麻雀牌・将棋駒。デザイナーと共同開発した、ペットに合わせて高さや角度が自由に変えられる組立式のフードボウルなど、設計から製造まで独自のアイデアをカタチにしてきました。

画像:東京ギフト・ショーで自社商品がグランプリを受賞左:「Fire Base」の開発・製作を担当した入社1年目の新入社員、松井勇樹さん/右:クラウドファンディングやSNSを担当する女性社員。左から菊田美由紀さん、早野悦子さん、藤田裕美子さん

会社情報

会社名
有限会社 早野研工
代表取締役
早野 文仁
所在地
岐阜県大垣市多芸島町1-86-2
電話
0584-89-6598
設立
1988年
従業員数
33名
主要事業
車体開発プレス部品の製作、精密試作板金、各種産業機器部品の加工
URL
http://hayanokenko.co.jp/

つづきは本誌2021年4月号でご購読下さい。

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