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ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦

6-4チタンをファイバーレーザ溶接で接合

ツツミ産業 株式会社

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画像:ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦左:ツツミ産業が製作した6-4チタン製の超高圧ボンベ(板厚5.0㎜、外径80㎜×長さ430㎜)/右:高野敦准教授が「下町ボブスレー」のプロジェクトメンバーと共同開発したハイブリッドロケット。2018年10月8日に打ち上げ、高度6,204mに到達した

「精密板金加工品の試作ならツツミ」

画像:ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦ツツミ産業㈱の堤健児社長

ツツミ産業㈱は、1965年の設立以来55年、テレビ・ビデオからデジカメ、コピー機、カーナビなど、さまざまな精密板金加工品の試作専門メーカーとして発展してきた。

「あえて試作という狭い範囲に事業を絞ったのは、この分野でお客さまのあらゆるニーズに“適確”に応えることで、『精密板金加工品の試作ならツツミ』と評価される企業になりたいという目的のためでした」と堤健児社長は語っている。

試作にはスピードが求められる。他社では対応が難しい技術要求の高い試作板金を、最短3日でデリバリーすることにチャレンジし、実現させてきた。

スピード化を実現するために、設計から加工、溶接・組立、検査までをワンストップで行える製造体制を構築した。3次元CAD/CAMによる正確かつスピーディーな板金設計と展開・プログラム工程。レーザマシン、パンチングマシン、ワイヤ放電加工機などによるブランク工程。ベンディングマシン、プレスによる曲げ工程。油圧プレス、サーボプレスによる絞り・成形工程。マシニングセンタによる成形用金型の製作工程。スポット・ガス・MIG・YAGレーザなど、豊富な溶接加工技術を備えた溶接工程。非接触型の画像検査装置、3次元測定機による品質保証体制と、全工程にわたって設備を充実させてきた。

  • 画像:ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦三越ブランド「セキトワ」として販売されたマグネシウム製アタッシュケース「75seven fiveMg」
  • 画像:ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦NHKの「超絶 凄ワザ!」で製作し、77MPaでへこんだ6-4チタン球

難加工材のチタン・マグネシウムにも対応

画像:ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦神奈川大学・高野敦准教授(オンラインインタビュー)

同社は、軽量化と強度維持という相入れない課題に対応するため、塑性加工が難しいとされる6-4チタンやマグネシウム合金の加工に挑戦している。金型を使用しない冷間・温間・熱間成形の工法を開発し、加熱による反りやねじれが少なく、しかも速く正確に加工できる技術を開発した。

2016年11月から、三越伊勢丹の日本橋本店と新宿店で、「セキトワ」ブランドとして、頑丈で軽いマグネシウム合金製アタッシュケース「75seven fiveMg」を販売。標準サイズは高さ340×幅420×奥行き55㎜、重量は1.6㎏。素材はほぼ100%マグネシウム合金を使用している。軽くて丈夫なのが特長で、無音開閉式のロック機構や気密性、持ち手などにもこだわった。

「加熱・加圧力・加圧速度の複合的な組み合わせによりマグネシウム板の加工データを集積、解析しました。この知見とサーボプレス、自社開発した熱間加工ロボットを駆使することで、亀裂・破断を生じさせずにマグネシウム板の曲げ・絞り・成形加工を可能にしました。高価な金型を使うことなく、絞り形状は簡易型で加工し、そのほかは既存の金型を工夫して曲げ加工を行います」(堤社長)

画像:ハイブリッドロケット用燃料タンクの製作に挑戦左:ハイブリッドロケットエンジンのテスト。たび重なる失敗を乗り越えて開発に成功した/右:アルミ製の液体酸化剤タンクの胴部

会社情報

会社名
ツツミ産業 株式会社
代表取締役社長
堤 健児
所在地
神奈川県相模原市緑区橋本台2-5-30
電話
042-771-0380
設立
1965年
従業員数
60名
主要事業
テレビ・ビデオ機器製品、通信機器・計測機器および事務機の機械部品、音響機器の機械部品・各種金型製作
URL
https://www.tsutsumi-s.co.jp/

つづきは本誌2020年8月号でご購読下さい。

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