特集

“withコロナ”に対応する板金業界

新型コロナの封じ込めに成功した台湾板金業界の“今”

製造回帰の動きが顕著 ― 情報通信・デジタル産業が国内経済を牽引

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感染予防に迅速に対応

新型コロナウイルスの感染拡大に迅速に対応し、封じ込めに成功した台湾。休業などによる経済活動への影響を最低限に押さえ込み、世界中で評価が高まっている。

しかし、世界経済の打撃は甚大で、台湾でもサプライチェーンの分断により部品調達が困難になり、貿易量も減少、GDPの56%を占める輸出が大きく落ち込んでいる。特に生産額で世界第5位の工作機械や、一部の医療機器、オプトエレクトロニクス業界などでは「減班休息」(景気を理由とした休業や労働時間削減、有給を含む)の適用が増えている。

その一方で、半導体や工業用コンピュータ、情報通信、建設などの分野は堅調に推移している。特に情報通信・デジタル産業は、中国での生産を台湾に製造回帰させる動きが顕著になっており、台湾経済にとってプラス要因となっている。

4月30日に台湾・行政院主計総処(統計局)が発表した1-3月期のGDP速報値は、前年同期比+1.54%増となった(図1)。落ち込みはあるものの、世界の主要国・地域がマイナス成長に陥っている中で台湾経済の堅調さが際立っている。2020年通年でもプラス成長が見込まれている。

  • 画像:新型コロナの封じ込めに成功した台湾板金業界の“今”図1:台湾の実質GDP成長率(四半期ベース)の推移
  • 画像:新型コロナの封じ込めに成功した台湾板金業界の“今”デルタ電子のデータセンター・インフラソリューション機器(同社ニュースリリースより)

2003年のSARS禍が教訓に

台湾は、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)禍の際に84人の死者を出したことを教訓として、感染症対策に必要な法整備を整え、新型コロナウイルスの感染拡大に対する初期対応・検査・隔離・治療などの諸措置が効率的に行われた。これによって、感染者数・死者数とも諸外国に比べて大幅に抑えられ、この災禍を的確に制御している。

すでにさまざまなメディアで紹介されているが、今回の新型コロナウイルス感染症が武漢で発生したことを台湾が察知したのは2019年12月31日早朝といわれている。その日の午後に武漢市衛生健康委員会が“未知のウイルス”の感染者が見つかっていることを発表すると、武漢からの直行便で台湾に入国する渡航者に対する検疫を強化、発熱の症状がある搭乗客は即座に入院させる水際対策を行った。

さらに、WHOからの調査チームが武漢の調査に入るより早く、台湾当局者が武漢で実情調査を実施し、「警戒を要する」と判断した。1月20日には感染症の状況を監視する中央感染症指揮センターを設置するとともに、中国から台湾国内へのウイルス持ち込みを封鎖した。

画像:新型コロナの封じ込めに成功した台湾板金業界の“今”台湾が「核心戦略産業」と位置づけた6産業

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