板金論壇

時代はまわる ― 板金業界の再編が始まる

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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ポジティブマインドな板金業界

年が明け、早二月(ふたつき)が過ぎました。今年も各種関連業界の新年会などに出席して、いろいろな方々とお話をさせていただきました。

その中で、半導体製造装置関連の仕事を手がけているお客さま以外からは、「仕事が減った」という話をあまり聞きません。ただ、建材関係のお客さまから「五輪需要が思ったほど伸びておらず、戸建て住宅や集合住宅の着工件数も頭打ちで仕事が薄い」という話は耳にします。しかし、総じて業界関係者の顔色は良く、にこやかな顔つきの方が多かったように思います。

昨年9月以降、急激に落ち込んだ半導体関連の仕事をされていても「発注元の賀詞交換会で社長の話をお聞きすると『3月までは我慢だが、年度が変わり、9月以降になると仕事は増える。とくに2020年は2018年以上に活況になる』といった挨拶をされているので心配はしていません。ここ数年のスーパーサイクルでずいぶん仕事をさせてもらっているので、骨休めのつもりで、しばらくはじっとしています」と、笑いながら話されるお客さまもいらっしゃいました。

また、昨年まで好調だった建設機械・工作機械なども、今年は「横ばい」「10%程度の減少」と受注見込みは控えめですが、受注残を半年以上抱えているため、受注は落ちても年内は生産が高原状態で推移するといわれており、板金業界への発注量はそれほど落ち込まないと見込まれています。

大手企業では板金サプライヤーの再編始まる

不安要因を挙げるとすれば、多品種少量生産品である工作機械のスプラッシュガードなどの大半が板金サプライヤーからの調達となっているため、調達コストを引き下げるためモジュール調達にチャレンジするメーカーが増えています。そのため、「選択と集中」でサプライヤーを絞り込む傾向が見られます。調達コストを下げるためには集中購買によるスケールメリットを考えるのが一般的であり、加工~溶接~組立~塗装~出荷までの全工程を一括で対応できる板金ゼネコン的要素を備えたサプライヤーに発注が集約される傾向が見え始めています。

しかも、超繁忙である昨今は、広々としたゆとりのある組立スペースを持ち、溶剤塗装・粉体塗装にも対応できる設備を備えた地方の大手板金サプライヤーに発注される傾向が見受けられており、業界内での陣取り合戦は厳しさを増しています。

こうした傾向は工作機械業界のみならず、建設機械や半導体製造装置関連の業界でも起きており、中には設計込みのターンキー受注で売上を大きく伸ばす企業も出始めています。

つづきは本誌2019年3月号でご購読下さい。

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