Independents ― 事業継承者の起業家精神

GMC初の外国人受講生

アマダスクールのGMC(板金総合6カ月コース)で日本のモノづくりを学ぶ

谷振股份有限公司 楊詠荃 さん

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画像:GMC初の外国人受講生3次元CADを活用し、得意先とのコラボレーション・エンジニアリングに対応する

電子部品・半導体製造装置関連がメイン

画像:GMC初の外国人受講生楊詠荃さん

谷振股份有限公司は1986年、陳忠垣総経理がそれまで勤めていた樹脂の原料商社を退社して設立した。当時の台湾板金業界は機械化が遅れており、ようやく機械板金の考えが浸透し始めた頃だった。

陳総経理は知り合いの紹介で板金業界のことを知った。台中地区には機械メーカーが数多くあり、機械カバー・フレームの仕事もたくさんあった。そこで、板金加工が進んでいる日本へ行き、日本語の板金加工関連の書物を買い集めて中国語に翻訳、板金加工を基礎から独学で学んだ。

1986年にシャーリング、コーナーシャー、ベンディングマシン、ユニパンチプレスをアマダ台湾から購入して、台中市内で会社を設立した。初めての仕事は、欧州の自動車メーカー、ルノーに部品を供給していた自動車部品メーカーの設備装置に使う機械カバー・フレームの仕事だった。その後、新規の得意先を開拓して順調に成長し、現在では電子部品製造装置や半導体製造装置などのカバー・フレームの加工・組立の仕事を主体にしている。

国内外、直接・間接を問わず日系企業からの売上が70%弱を占めている。自動車・工業化住宅・電機(液晶・有機EL、太陽電池など)の生産システム、ロボットシステムなどの各種自動化システム、産業機械、化学プラントの建設メンテナンス、太陽光発電所など、電機・電子部品製造装置の板金カバー・フレームなどの仕事を受注。ピーク時は月間3,000万台湾元(約1億円)の仕事を受注した。

最近は台湾の液晶パネル製造装置メーカーAUO向けの仕事が忙しく、使用する材料は鋼板(SECC、SPCC)の板厚1.2㎜・2.3㎜、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS430)の板厚1.5㎜・2.0㎜がほぼ半々となっている。

ステンレス加工に対応するため、1999年頃にアマダ台湾からレーザマシンLC-2415αⅡを導入、その後、欧州製のレーザマシン1台を増設した。最近は製造装置も大型化しており、装置を載せる架台製作のため、形鋼や角パイプの使用頻度が増えている。そこで、LC-αⅡの後継機として形鋼・パイプの加工ができるロータリーインデックス装置付きのレーザマシンFO-MⅡ RI 3015NTをシャトルテーブル付きで導入した。

さらに、コラボレーション・エンジアリングを行う機会が増えていることから、3次元CAD SolidWorks、AutoCAD Inventorなどを導入し、得意先と共通のプラットフォームを構築、共同で装置カバーの設計も行うことによって生産リードタイムを大幅に短縮している。

  • 画像:GMC初の外国人受講生平板・パイプ・形鋼に対応するレーザマシンFO-MⅡ RI 3015NT+LST-RI 3015
  • 画像:GMC初の外国人受講生曲げ加工エリア

長男は経営学と生産管理・品質管理を学ぶ

陳総経理には2人の子息がいる。

長男の陳俊宏さんは台湾の大学で機械工学を学び、2002年に同社に入社、3年間製造現場で経験を積んだ。2005年から5年間は米国・シアトルの大学で、英会話と経営学を学び、帰国後2年間は同社で営業職に携わった。その後は1年半、日本へ留学した。

「モノづくりは日本とドイツが世界のトップ。日本で最新のモノづくりや生産管理、品質管理、そして日本語を学びました」と陳俊宏さんは語っている。

2013年に帰国してすでに5年、中国語・英語・日本語を駆使してグローバル化するビジネスに対応し、陳総経理の片腕として事業全般を見るようになった。

左:ステンレス製の大型盤筐体の溶接作業/右:出荷を待つ液晶製造装置の架台左:ステンレス製の大型盤筐体の溶接作業/右:出荷を待つ液晶製造装置の架台

会社情報

会社名
谷振股份有限公司
総経理
陳忠垣
住所
台湾・台中市烏日區螺潭里慶光路79-15號
電話
+886-4-2335-4800
設立
1986年
従業員数
70名
主要事業
電子部品・半導体製造装置などのカバー・フレームの板金加工・組立
URL
http://www.goodjoint.com.tw/

つづきは本誌2017年5月号でご購読下さい。

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